がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

2010-01-01から1年間の記事一覧

ディディ=ユベルマン再読中です

ほんとはクリスマスらしくマリア様についての本を並べる予定だったけど間に合いませんでした>< (ていうか、わたし、「今年の10冊」も途中なんだが、だいじょぶか?) ヴィーナスを開く―裸体、夢、残酷作者: ジョルジュディディ=ユベルマン,Georges Didi‐H…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 8

べつに驚かなかった。これは、予測の範囲内。 こいつは、それ――茉莉がショックを受けること――が俺への抑止力として働くと思っている。自分がそうだから、相手も同じに違いないとしか考えていない。 だが、それでは戦えないんだよ。浅倉。 「お前なら、俺を殺…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 7

「俺は、茉莉と会ったときから茉莉さえいればそれでいいと思ってきた。だが、少し知恵がつけば、相手が俺の言いなりになる人形じゃないことや、自分の抱いている欲望が世間ではおぞましいものだという認識はできあがる。俺はだから家を出たし、ほかの女性と…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 6

俺は嘘をついている。わかりやすくも言える。だが、わかりやすく言えば、浅倉にただ反論されるだけだ。そして、深町さんも取り合わない。言えてしまった時点で、それはもう「問題」ではなくて努力対象になるというのが深町サンの判断だ。俺は、それをこそ問…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 5

目の前の男は身じろぎひとつしなかった。それは、礼儀にかなっている。 「お前が深町さんを守りたいがために話しをしないならそれでいい。俺は来須に頼んで言伝してもらうこともできるし、もちろん自身で頭をさげる覚悟もある。だが正直、俺は茉莉のことだけ…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 4

浅倉のにやけたようすに辟易し、遠慮なく弱点をついてやった。 「お前、その調子で深町さんからかうと永遠に相手にしてもらえなくなるぞ」 「そっちへ反撃するんだ」 顔つきが変わったので俺もそれ以上つっこむのはやめた。そして浅倉は浅倉で、こちらの態度…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 3

「そういうのは、お前のほうが詳しいだろうが」 十二分に呆れて問い返すと、洋画の男優みたいに肩をすくめて、 「間違えた。深町センパイの」 なにが間違えただこの野郎。と胸内では罵ったが、それをそのまま口にはしない。 「浅倉、ここで勝手に講釈たれた…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 2

こいつ、真顔でツッコミやがったよ。 鼻白んだ俺の顔を流し見て、やつは残り僅かになった壜を片手でとりあげながら続けた。 「つうか、オレたち男が女の人の欲望に逆らえるはずないっしょ? 妹さん、あんたが初恋の人だってオレにコクってたし、もしも親が反…

「それを何と呼ぶかは貴女が決めてくれ」 1

目次 1 2 3 4 5 6 7 8 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 世の中に、「妹萌え」ということばが流行りだしたのはいつの頃だろうか。その前はたしか、「シスコン」といったはずだ。 しかしながら厳密にい…

S.P.Q.R.(マリオ・プラーツ『ローマ百景』)

さてもさても、おのれの記憶力の限界を思い知らせ、感受性を刺激しまくる本である。 まずは道しるべに、ラブレーの有名な言葉をひいておこう。 Si Peu Que Rien(ごくわずか)! いえいえ、これは間違いですよ(笑)。 あらためまして、 Senatus Populusque …

世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラとロマネスク建築などのブックガイド 1 (『楽園の箱』更新のお知らせより再録)

連載小説の「更新のお知らせ」が、気づいたらブックガイド化してたので切り張りしてみたYO☆ サンティアゴ巡礼の道 スペイン政府観光局オフィシャルサイト(日本語) http://vm.spain.info/jp/TourSpain/Grandes%20Rutas/Rutas/Rutas/0/Camino%20de%20Santi…

「小説」や「物語」を書きたいひと向けの本を並べてみたよ☆ 

「小説」とか「物語」とか書きたいひとへ。 わたしが読んで面白かったその手の本をテケトーに、イロイロとりまぜて並べてみるYO! えーと、まずはじめに、なんのかんのとバランスが取れていると思うのがこちら。 ストーリーメーカー 創作のための物語論 (…

「同人誌の小説」について(※2012年11月追記あり)

同人誌の小説 http://anond.hatelabo.jp/20101121163318 ひさかたぶりに「しゅうち☆ぷれい」タグがご出勤しちゃいましたよ(笑)。 angmarさんに「本職」などと言われるとチョーびびりますが、せっかくおよばれしたのでガムバリマス!*1 えっと、その前に。 …

乗り物(鉄道&馬車)好き、または片眼鏡(モノクル)好きな方へ送るプルースト

失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)作者: マルセルプルースト,鈴木道彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/03/17メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (27件) を見る読了しました…

エラスムスやトマス・モアの出てくる小説についてとか

「古典よむ部」のハイクのほうでお知らせいたしましたが*1、再度ダイアリーでもと。 いま、〈古典〉とはなにか――クラシカル・ターンを問う (UTCP Booklet 2) | 刊行物 | University of Tokyo Center for Philosophy http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/publication…

講演会「「クリスティーヌ・ド・ピザン──最初の女性知識人」聴きにいってきました!

「クリスティーヌ・ド・ピザン──最初の女性知識人」講演者:マリア・ジュゼッピーナ・ムッツァレッリ(ボローニャ大学文学部教授) 日時:2010年11月5日(金)18:00-20:00 会場:東京大学 駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム1 入場無料・事前予…

唐突に思い出しメモ。否、「今年の10冊(!?)」への準備運動。

いろいろとツッコミドコロ満載ですが、個人的メモなんでヒラに、平にご容赦願います!(古典よむ部のガイドライン守ってないっす><) 2007年思い出に残る本10冊(順不同)『フーコーの振り子』(『薔薇の名前』よりも断然コッチ! あちらはチト優等…

「ヘンリー・ムア ― 生命(いのち)のかたち 」展、いってきました!

彫刻家の名前、何人あげられますか? 好きな彫刻家、いますでしょうか?ムアは、好きな彫刻家のひとりです。 こどものとき見て、「カタイものなのに、もあっとした体温ありそうで、なんだか好きだなあ」というぼうっとした手探りの感覚があるのですが、それ…

「素描」について:ミケ様とヴァザーリせんせのお言葉より 

まずは「神のごとき」と呼ばれるに相応しいミケランジェロのお言葉を劈頭に掲げておきましょう! 素描しなさい、アントーニオ、素描しなさいアントーニオ、素描しなさい、時間を無駄にしないで ――ミケランジェロ・ブォナローティ しみじみと、ミケ様いいこと…

「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで」にいってきました!

ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展 ルネサンスからバロックまで「ナポリを見て死ね」と、文豪ゲーテさんはおっしゃいました。*1 わたくし、ナポリという街を高速道路からチラ見したことはありますが、そんなでは、かの偉人の御心にかなう「見方」であ…

なにげにフローベール再読中。『三つの物語』と『紋切型辞典』

「完璧な物語」。 もしもそう呼べるモノがあるとしたら、わたしならとりあえずコレを挙げとくかな、ってのが、以下の本。 三つの物語 (1953年) (新潮文庫〈第515〉)作者: 鈴木信太郎,フローベル出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1953メディア: 文庫 クリック:…

「第3回アルファポリスファンタジー小説大賞」に『歓びの野は死の色す』という作品で参加しています!

カレンダーを見て、「9月……。9月っていったいどういうこと? 2010年があと4ヶ月ってウソでしょ?」てな気分でボケまくり、6月末から「古典」ばかり読み続けた結果、じぶんの作品よむのが怖くて縮こまってるflorentineこと磯崎愛でございます。 つき…

「古典よむ部」ガイドラインです!

先週水曜に「つくるぞ」宣言した「古典よむ部」、発起人のわたしがモタモタしてる間にみなさんドンドン先にすすんでるご様子でめでたい限りでございます*1。 なにはともあれ、こんな変な名前の「古典よむ部」にご興味をもってくださってどうもありがとうござ…

「古典よむ部」つくるぞ作るぞ、つくるぞ〜!

「小説更新のお知らせ」を、「放置ぷれい終了」と呼びかえるべきかお悩み中です。 ご存知の方も多いでしょうが、FC2ブログって一月更新しないと「ぐるぐるアド先生に鎮座マシまし」されちゃうんですよ。困ったことです。 そんな放置ぷれい続行中の小説サ…

『夢詩壷』という作品で「アルファポリスドリーム小説大賞」に参加しています! 

え〜と、2010年があと残り半分と1週間なのが信じられないflorentineこと磯崎愛です、こんにちは。 さきおとといは夏至、あさっては満月、今日は聖ヨハネ祭の日、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 一ヶ月以上「放置ぷれい」しまくりのブログで次でて…

へへへと笑って「さよおなら!」

名は体をあらわすなどといいますが、この『がらくた銀河』、「へりくつ」カテゴリーなる記事が3つも並び、「におい」が芬々と漂いそうなブログです。やはりガラクタ、おもいっきし廃棄物とかゴミっぽい(笑)。ついでにお恥ずかしながらシモネタ(おといれ…

そのひとの名は

「行ってまいります」 そのひとは、このブログのコメント欄にそう言いおいて出かけられた。 少し前には、「遅れても必ずブログを拝見するよ。元気になったらスターのてんこ盛りで襲撃してやるから待ってて(笑)」と声をかけてくれた。 その後ブクマで、「いつ…

花ちゃんと都ちゃんの「ボッティチェッリ画『神曲』素描地獄篇」漫談 その2(文字通り、シモネタですのでご注意を! 笑)

※id:hebakudanさんのお名前に敬意を表して! 花「ねえねえ都ちゃん、なんで古典苦手なの?」 都「なんていうか堅苦しい・難しい・メンドチッイ気がするから?」 花「から?って、自分のことなのに疑問形〜(笑)」 都「花だって、この『神曲』よむのに難しい…

花ちゃんと都ちゃんの「ボッティチェッリ画『神曲』素描地獄篇」漫談 その1

※参考文献はあとで落ち着いて直します。ご教示ありがとうございます!(予言通りだ 汗) 花「都ちゃん、ちょっと聞いてぇ。ゼミの発表なんだけどさ」 都「お題は?」 花「ボッティチェッリ画『神曲』素描の物語表現・地獄篇。きわめて個人的な副題が『幻視者…

サンドロ・ボッティチェッリの『神曲』素描 

はてなブログ復帰第一弾! (帰ってきたよう☆) まずはやはり、コレでしょう。 ボッティチェルリ『神曲』素描―ベルリン美術館・ヴァティカン美術館所蔵の原画による (1979年) 作者: 鈴木杜幾子,平川祐弘 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1979/03 メディア: …