エラスムスやトマス・モアの出てくる小説についてとか
「古典よむ部」のハイクのほうでお知らせいたしましたが*1、再度ダイアリーでもと。
いま、〈古典〉とはなにか――クラシカル・ターンを問う (UTCP Booklet 2) | 刊行物 | University of Tokyo Center for Philosophy
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/publications/2008/03/what_are_the_classics_in_our_t/
こちらの頁からダウンロードできるようです。是非どうぞ!
むつかしいことはよくわかりませんが(『ユートピア』も読んでないです><)、エラスムスがトマス・モアと一緒に語られてるところはものすごく印象に残りました。後半のエラスムスのほうをほんのちょっぴりご紹介。
宮下 エラスムスには世俗的な出世というのはないし、フランソワ一世などにフランスに来ませんか、コレージュ・ド・フランスの前進の王立教授団に特等席を用意しますから、と言われても拒否しているわけで、どっちかというとあっちこっちをふらふらしているというか。そういう印象ですね。ただ、本人としては、どこかに腰を落ち着けたかったと思いますが。
高田 でも、宮下さんは、そういう放浪が好きでしょう。
宮下 そうそう(笑)。
高田 だから、あれは一つの古典的人間像の典型ですね。まったくのルネサンス的人文主義者だと思います。
エラスムス、アルド印刷の校正係とかしてますよね(こないだの講演会でもお話があった)。いろいろ大変そうだけど、なんのかんのとバランスとってる。いっぽう、トマス・モアはご承知のとおり死んじゃうわけでして……
他にも色々と興味深く面白いおはなしはあるのですが、ちゃんとした感想とか書けないんで、わたしの好きな小説や映画をテケトーにはっておきます(って、わたしってばそんなんばっかね。でもツマンナイこと書くより断然イイ気がするんだもん!)
エラスムスといえばこちら!(しか読んでないです。先日の宮下先生の講演会でこの本以外を読んでる人は少ないと思いますがというようなこと仰ってて、コクコク頷いちゃいました 笑)
- 作者: エラスムス,渡辺一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1954/10/25
- メディア: 文庫
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これは高校生のとき読みました。面白かったです。その証拠に真似してパロディ小説かいた覚えがある(爆笑)。
そいでもって、「エラスムス計画」もどうせならあげとこうっと。
エラスムス計画(ERASMUS, European Region Action Scheme for the Mobility of University Students) は、EU における学生の流動化の促進を目指すもので、1987年に設立された。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A0%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB#
この制度を利用した若者たちの映画。青春群像劇のお好きな方へv
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スパニッシュアパートメント公式サイト「 STUDENTS OF EUROPE 」
エラスムス計画とは?
劇中でグザヴィエが利用する交換留学生制度がエラスムス計画だ。この制度はヨーロッパの大学の結束と人物交流を促進するため、欧州委員会によって、1987年に開始された。当初は3,000人程度の学生しか利用者がいなかったが、現在は100万人以上の学生がこの計画に参加しており、欧州連合のプロジェクトの中でも特に大きな成功例のひとつと見られている。なお、この映画がヨーロッパで公開された翌年、その利用者数は2倍近くに跳ね上がったんだとか。
http://movies.foxjapan.com/spanish/special.html
当のエラスムスも吃驚してるかもしれませんね(笑)。
それから、とっても魅力的なエラスムス先生が出てくる小説を!
- 作者: 辻邦生
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12の肖像画と12の風景画にインスパイヤされた辻邦生さんの短編集。
このなかの「傲り」が、ホルバインの描いたエラスムスの肖像画から想を得られています。このエラスムス先生がたいそう思慮深く、それでいてなかなかにお茶目なところもあって素敵なので是非☆(さすが、あの『痴愚神礼賛』の執筆者!)
さて、お次はトマス・モアです。
もうここで、ふだんからわたしのブログやらハイクやらを読んでくださってる方はおわかりでしょう!
そうです、レイフェルおじさんことラファティのあの本ですよ!!
- 作者: R・A・ラファティ,井上央
- 出版社/メーカー: 青心社
- 発売日: 1993/01
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この本についてはすでに語ってるので*2、くりかえすのもなんですが……、でも、レイフェルおじさんの小説が大好きすぎるので何度でもご紹介!
そして一応この記事は「古典よむ部」タグつけましたし、ふだんSFを読まれない方へは、ラファティの『イースターワインに到着』の大森望氏解説で引かれた山本雅浩氏の文章をお届けしてみたり(笑)。
こういった行き方は、疑いもなくモダニズムあるいはポスト・モダニズムと共通する要素を含んでいるが、大ざっぱな読後感を言えば、むしろジャンルの分化する以前の《文学》、プラトンからディドロに至るまでの、空想と科学と人間観察が分かち難く一体となった数々の対話篇、『ユートピア』や『痴愚神礼賛』を始めとする、フィクションともパンフレットともつかないルネサンス期のintercategoricalな著作群、スウィフトやラブレー、あるいは、恐らくチェスタトンが最後となった英文学の文人(man of letters)的伝統を思い起こさせる。
こういうはなしをすると、ジーン・ウルフの『新しい太陽の書』について語りたくてたまらなくなったりするのですが、アウグスティヌスもちゃんと読んでない体たらくなんで、逃げときます。
しかし、エラスムスとトマス・モアときて、ルターのルの字も触れないところがわたしらしいな、と思いながら何の落ちもなく唐突に終わるのである〜*3。