いろいろとツッコミドコロ満載ですが、個人的メモなんでヒラに、平にご容赦願います!(古典よむ部のガイドライン守ってないっす><)
2007年思い出に残る本10冊(順不同)
『フーコーの振り子』(『薔薇の名前』よりも断然コッチ! あちらはチト優等生すぎる。パロディもお笑いも謎も構造も、出来上がりすぎている。さりながらこれは、物語に連れ去られるエーコ先生の歓喜の哄笑がいつまでも長く聞こえる。傑作!)
『冬の夜ひとりの旅人が』(わたしのカルヴィーノ様カルヴィーノ様カルヴィーノ様!!!)
『都市と星』(かっちょえええええええ! 新訳よまなきゃって、わたし、何回いってるだろ?w)
『幼年期の終わり』(三島がクラーク先生好きなのよくわかるわあ)
『定家名月記私抄』(続、も込みで。高校生のときから二十年近く間をあけて再読。絶品。醒めたアタマで酔い痴れる)
『シャンボールの階段』(レオ様しらべていて辿りついた。ありがとう、レオ様! わたしにキニャールさんを教えてくれて)
『フランス中世文学集』(再読のうえに3まで。4は未読。だって、新倉俊一、天沢退二郎、神沢栄三なんですもん。ってバカいってないでそのうち必ず4も読みます)
『地中海遊覧記』(マーク小父さんは、なんて、なんて素敵なひとなんだろう! まるで宝石箱。後の小説の源はここにある)
『老いたる霊長類の星への賛歌』(あう〜>< 好きだあ、ティプトリー! 泣いちゃう)
『シンボリック・イメージ』(ゴンブリッチ卿のこの本はまるで「迷路」です。魅惑的)
『ルネサンス時代の深層 フィチーノと芸術』(シャステル様! このひとのフランス語、チョー難しいんだ。ムチャクチャかっこいいけど。日本語でよめてシアワセ)
2008年「今年の10冊」(うむ、これは選べたのだ!)
とにもかくにも、誰がなんと言おうとラファティですよ!
- 作者: R.A.ラファティ,越智道雄
- 出版社/メーカー: サンリオ
- 発売日: 1986/08
- メディア: 文庫
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これを読んで、わたしの小説観はグダグダになりました。
もう、懸命に積み上げてきたものを一読にして壊される悦楽の凄まじさ!
なにがすごいといって、なにもかもがスゴイ!
語り、設定、キャラ、ネタ、小道具、思いつく限り、小説を構成する要素のすべてがイッテしまっていると思えます。
相当ヤバイ代物ですよ?
後遺症から立ち上がれずにおりますが、まずはやっぱり、
ワインで乾杯ですv続いても、ラファティ。
子供たちの午後 (Seishinsha SF Series)
- 作者: R.A.ラファティ,R.A. Lafferty,井上央
- 出版社/メーカー: 青心社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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アンファン・テリブル好きにはたまらんです。
肌が合うとしか言いようがない、ラファティを読む愉楽。
変なオジサンであるラファティらしく、
愛と、その不思議と不条理を語る手管に惚れてます。
ここにはあげませんが、
『つぎの岩につづく』という短編集もまた、
恋愛の真実という恐ろしさ・おぞましさから目を背けることができなかった、ラファティおじさんの性(さが)が見えます。はい、そしてまたラファティ。
- 作者: R・A・ラファティ,井上央
- 出版社/メーカー: 青心社
- 発売日: 1993/01
- メディア: 文庫
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コードウェイナー・スミスやジェイムズ・ティプトリー・ジュニアが短編・中篇・長編で書きそうな設定を、長編の、ほんのちょっとのワンエピソードに堂々と持ってくるラファティ!
ネタ・アイデアを出し惜しみしないその鷹揚さが素敵です。
終末のときに生きているという気持ちになる、この時代、
一読に値するといいたい聖人譚。
そしてひとは聖人にうまれるのでなく、その行いによってのみ、聖人となるのだと自分に言い聞かせたいです。
敬虔なカトリック信者だったラファティの、渾身の一冊であろうかと。それから、ダニロ・キシュ。
- 作者: ダニロキシュ,Danilo Ki〓@7AAD@s,山崎佳代子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/02
- メディア: 単行本
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やはり、この「語り」は凄かったと。
主題にあわせてどう語るか、声のトーンを変えて語るその内容もまた深い。
「生きる」ということを書くのが小説である一方、
「死」というものを語りえるのかと考えさせられるのも小説で、
その、恐ろしくて逃げ出したくなる主題を、きちんと書いて伝えきるその書き手の強靭さに脱帽。
強くなりたいと思わせてくれたので。強靭……ではなく(?)、
透徹とした知性をたたえながら、どこか弱々しさの漂うパスカル・キニャールも、やはり好きだと思ったのであげておこうっと。
「書く」という行為を、こんなふうに語ってくれて、そのひとつひとつに頷きたくなるのは、自分のなかにもこの種の戸惑いや恐れがあるからだと思う。
ことばは恐ろしく、そして強い。
その強さに怯みながらも、「書く」という行為によってしか自分を表現できなかった(できない?)己を省みて、彼の「書くこと」に、なんだかとっても納得してしまう。
きっと、すごく好き。
愛してると言えないけど。それから、そうした捻くれた想いを抱かせず、わたしを熱狂させてくれたのがこの本。
- 作者: アルフレッドベスター,Alfred Bester,渡辺佐智江
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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ものすご〜〜〜いドライヴ感!
グルーヴィーでセクシーで、お馬鹿でお利口で、クールでキッチュで、いっちゃってるのに実はすご〜〜〜く計算はいってる、こういう小説のようなオトコがいたら、わたしはそのままついてきます(笑)。
楽しくハチャメチャな恋愛生活に突入できそうだから。
これくらい弾けたいと思う今日この頃。
実はしっかり温故知新なこの小説、
基本は押さえておきたい小説読みさんにこそ、オススメですvこういうランキングは圧倒的に後半攻めが有利なものですが、
えらいことに今年前半の読書であったのに、その端正な魅力でわたしを魅了してくれたのがこの方。
トマス・M・ディッシュ。
- 作者: トマス・M.ディッシュ,若島正,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
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亡くなってしまったのが残念で仕方ないです。
という、湿ったはなしではなくて、やはりここでは彼の魅力を語らなければ!
都会的でスタイリッシュ! ビターでブラック!
大人のかっこよさ満載のディッシュ。
おこちゃまにはそれゆえに憧れで、オトナには居心地よく、読後感の良さ悪さ、その計算されつくした嫌味なほどの味わいも、すかしてると思いつつ、タマランなあと浸りたくなります。
ほんともう、意地悪度120%! 物書きとしてこんなに素晴らしいことはない。
そんな小説家だと思います。そして、意地悪かどうかはわかりませんが(いや、そりゃあ至極意地悪ではあるだろうけど、でも、ちゃんと親切で公正ではあるのだな)、一筋縄ではいかないといえば、こちらのジーン・ウルフ。
- 作者: ジーンウルフ,Gene Wolfe,浅倉久志,柳下毅一郎,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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手札が見えないっていうのはこういうことかと!
『新しい太陽の書』のシリーズは未読ですが、もう絶対好き!
読む前から、大好き宣言できそうなのがこの方です。きっと、身悶えしまくるに違いない。だって、あらすじ見ただけでもタマランのに、この語りの超絶技巧はいったいどういうことって昏倒しそうです。
好きな作家がかぶるところもまた、大好き宣言を裏付けます。
デス博士の連作も、うきゃああああああ、と叫びながら読みました。もうだって、こういうの、小説書くひとはヤリタイし読みたいし遊びたいしで七転八倒ですよ(笑)。小説が好き。小説(物語)を読むと書きたくなって書くと読みたくなるという、その美しすぎる見本です。つづいて、わたしってば、どうしてもっと早く読まなかったの!!! と、叫ばせてくれたのがこのひと。
スタージョン!
- 作者: シオドア・スタージョン,大森望
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/12/22
- メディア: 単行本
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SFというジャンルで書き続けてくれてよかった……というような言葉をどこかで見ましたが、SFへの愛を感じます。
べつに、ジャンルなんて何でもいいんだけど、ひとはフレームがあると安心しやすい。
そして、どこかでラファティが語っていたけれど、SFを好きなひとは、越境すること、何かと何かに橋を渡すことが好きだか得意だかそんなのだそうで、スタージョンのこの短編集はその見本ともいえるような、どっから見ても楽しく読める、面白いおはなしがぎゅっとつまってます。
日常から非日常へとすいと飛び越えること、ふつうと特別を分けるもの、どうやら、ソコらあたりに敏感に反応してしまう自分がいます。
スタージョンは、ソコがまたとても素晴らしく、いえ、美しく、切ないのです。さてさて、これで9冊?
ラファティの『つぎの岩につづく』をよけたのは、このラスト1冊のためでした。
失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセルプルースト,鈴木道彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/17
- メディア: 文庫
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ずっとずっと、読むのが恐ろしかったこの小説。
怖がって逃げてばかりはいられないと、ようやく覚悟を決めました。
怖くても痛くても苦しくても。
それでも書く。
とにかく書く。
自分への叱咤激励をこめて。
この1冊で、2008年を締めたいと思います。
あ〜、わたし、成長したなあ。この当時、ウルフ様の手が3本、しかも「時の6本指」よろしく、凄いことになってるように思えてたから。
2009年の「ベスト20本」(順不同)
詳細情報はこちらでお確かめいただければ幸いです。
http://ainokarakuri.blog42.fc2.com/blog-entry-91.htmlジャン・ジュネ「恋する虜」(これは、わたしの生涯ベスト1、かも)
ラファティ「悪魔は死んだ」(魔術的ではなく、ほんものの魔術!)
ジーン・ウルフ「ケルベロス第五の首」(いやはやキンチョー、トンデモ超絶技巧)
ジーン・ウルフ「新しい太陽の書」てより「ウールス・サイクル」でまとめていい?(帯に「全ての小説を内包した奇跡の物語」とあるように、これは、ウルフの「自伝」でもあるぜ)
トマス・ピンチョン「ヴァインランド」(おー、まい、だっど!)
レーモン・ルーセル「アフリカの印象」(このひとのおかげでソシュールから始まる迷路に、迷路に〜〜><)
ロレンス・ダレル「アレクサンドリア四重奏」(ジュスティーヌ!ジュスティーヌ!ジュスティーヌ! とだけ叫ぶ)
ジョイス「ダブリナーズ」(いや吃驚した。音という波動が迫りきた。「死者たち」、あれは何?)
ミロラド・パヴィチ「ハザール事典」(タマラン。よんだのは、男性版。夢の狩人になってやる!)
ナボコフ「青白い炎」(わたし、いつかこれヤルよ。うん!)
円城塔「Boy's Surface」(「Self〜」は未読。恋愛モノに弱い)
円城塔「オブ・ザ・ベースボール」(てより、「つぎの著者につづく」がイイのだ☆)
レム「完全な真空」(いくども昏倒するかと思いました。マジで)
カルヴィーノ「まっぷたつの子爵」(このラストが、ラストがねえええええ 涙)
カルヴィーノ「木のぼり男爵」(切なく美しい恋愛物語と思う。ああいうのを「純愛」と呼びたい)
高橋源一郎「日本文学盛衰史」(ずるい気がしたが。作家冥利に尽きると思う)
パスカル・キニャール「ヴュルテンブルクのサロン」(早すぎる自伝。オレ様が読みを間違ったせいで、十全に味わえなかった作品。そういうこともある)
山下洋輔「ドバラダ門」(巧い、巧すぎる。言語は究極、音と間だよなあ)
キング「ドロレス・クレイボーン」(力技! 「IT」よりこちらだった、わたしは)
レーモン・クノー「文体練習」(これは、思わず口の端があがるね)
さあ、2010年はどうなるっ!?
(30冊でもいいかなあ……と呟いてみる)