まずは「神のごとき」と呼ばれるに相応しいミケランジェロのお言葉を劈頭に掲げておきましょう!
素描しなさい、アントーニオ、素描しなさいアントーニオ、素描しなさい、時間を無駄にしないで
――ミケランジェロ・ブォナローティ
しみじみと、ミケ様いいこと言うなあ〜、と思う。思わずパソコンの前にはっておきたくなるのです。絶対に、「いいひと」だよね。いやそりゃ、こんな言葉でいえるような「人物」じゃないってこともわかるんだけど。でもさ、これ聞かされたらウジウジしてる場合じゃないって思うよね?
法王との確執も、レオ様とのやりあいも、父親との言うに言われぬ関係も、何もかもひっくるめてこう口にしたと思うと、胸が痛い。
でも、ミケ様の弟子になるのは大変そうだけど。うん。
おつぎはご存知、ミケ様と同郷のヴァザーリせんせい!!
われわれの三つの芸術、すなわち建築、彫刻、絵画の父である素描(ディセーニョ)は、知性にみちびかれて、多くの事物からひとつの普遍的判断力をひき出す。(中略)
素描とは、人が魂のなかにもっている思想の外在化、明確化に他ならず、またこれは精神のなかに想像され、観念のなかでつくられたものに他ならない
――ジョルジョ・ヴァザーリ
かっこいい〜〜!
さすが、『画人伝』そのほかで後世に名を残したひとである。
ちなみに当然のことながら、「母」は「自然」。
あ、そういえば。
ブクマ経由で「ヴァザーリ」のちったー、知りました☆
『画人伝』よんだことのある方ならチョーおすすめ。オモロイっすv
http://www.niyahouse.jp/ren_twitter/Giorgio_Vasari.html

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(おや、新装版だ!)
ラストはやはりミケ様で。
この世界には、唯一つの学芸があるだけであり、それは素描、もしよければ絵画と呼ぶべきもので、他の一切のものは、その源流から派生する支流のようなものである。注意深く考えてみると、人は誰しもこの世界を描きつつ、あるいは創造しつつあり、たとえば家屋を造る、耕作する、航海する、戦争するというような一切の操作や運動や行為は、すべて大きな意味における絵画であり、絵画こそその源流、他のすべてのものは、彫刻でも建築でも、ことごとくその源流から派生する支流のようなものである
――ミケランジェロ・ブォナローティ
彫刻家ミケ様という、こちらの勝手な思い込みを打破する強烈な一語。
「この世界には、唯一つの学芸があるだけであり、それは素描」、忘れられない。
しかも、「人は誰しもこの世界を描きつつ、あるいは創造しつつあり」とくるのだからタマラナイ。
「素描」、大好き、なんですよ。
素描。
つぎに書く小説は、「素描」というタイトルかもしれない。
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1994年2月11日―4月3日、東京ステーションギャラリー開催の
「オックスフォード大学クライスト・チャーチ美術館所蔵 フィレンツェ・ルネサンス素描展」図録 石鍋真澄著『ルネサンス素描と芸術論の発展』論文より抜粋。
http://opac.nmwa.go.jp/servlets/library?func=function.opacsch.toshoshozodsp&view=view.opacsch.newschdsp&shoshisbt=1&shoshino=0000016585
この展覧会、ほんとうに本当に素晴らしかったです。