がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

歓びの野をつづれ織る13 西欧の肖像画の流れについてなど

novel18.syosetu.com

 

ピクシブのほうで評価やブックマークしていただきましてどうもありがとうございます。ひっそりここで御礼申し上げます。

www.pixiv.net

 

今日もまたぼんやりとしたはなしを
ていうかもう、ここ、ぼんやりしつづけていいですよね? ね?
今回はメダルについて、というかヨーロッパの肖像画の流れについてなら

この人は誰か
天真爛漫さ、横溢する才能、あるいは成功者の自負心の表象なのだろうか。われわれに残された、幼少から晩年までのモーツァルトの肖像画15点――。アングル、ダヴィッドの古典そしてゴッホピカソの現代まで数々の傑作肖像画の鑑賞から、肖像画に籠められた様ざまな意味と機能を分析し、美術とは何かの核心と本質に迫る。

――肖像画は、創造活動や社会の在り方について、多くのことを教えてくれる。美術館のギャラリーは、素通りするには惜しい豊かな美と知識の宝庫なのである。――

 

http://www.seidosha.co.jp/index.php?cmd=read&page=%BE%D3%C1%FC%B2%E8%CF%C0&word=%A5%E2%A1%BC%A5%C4%A5%A1%A5%EB%A5%C8

 

肖像画論 モーツァルトの肖像をめぐる15章

肖像画論 モーツァルトの肖像をめぐる15章

 

 

 

 
こちらがおすすめです。
西洋美術について何か聞かれたら、だいたいは高階先生の本をあげることにしています。
そうだ、今年(2012年)は高階先生の御尊顔を拝した年でもあった!(そして文化勲章おめでとうございます!)
ルネサンス関連書物でナニよんだらいいって聞かれても、
いきなしブルクハルトとかおすすめせずに(いや、その、ブルクハルト読まずにすむってはなしじゃないんだけど、いきなりあそこにいかずともいいとおもうっていう意味で、いやむしろ最初にあそこに行かないほうがいいんじゃないかって意味で、新訳でてるんだけどよんでないのだが、うーん)、まずは高階先生の本をと思います。

ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土 (中公文庫)

ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土 (中公文庫)

 

 

 

フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))

フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))

 


ご承知のように、西欧において初の風景画をかいた人物がレオナルド・ダ・ヴィンチとされちゃうくらい、「人間」と「風景・自然」についての問題って根深くて(まくろこすもすとみくろこすもすというか、うーん、あと「庭」についてとか)、このへんまだなんにも突き詰めてないのでなにもいえないんですが、ずっと考えているところでもあるので、まあ、ひきつづき考える。

ということでオチもなく終わるのであったまる。
by florentine(磯崎愛) 2012/12/31 16:40:06

 

いちお、

ようやく少しずつ今、お庭についてとかはやりはじめてて、

ていうか、「自然(じねん)」と「作意」とか厄介なほうへうつってたりして大変です><

なんかもう、書けばかくほどドンドン難しくなるかんじ~、ふひゅん。

歓びの野をつづれ織る6 エリス姫のモデル――ルネサンス時代の高級娼婦

歓びの野は死の色す

 

https://novel18.syosetu.com/n5403bl/

☆やブクマ、はたまたツイッターでのRTやお気に入りいただいております。ありがとうございます。嬉しいです。

今日は前ふりしてたとおり、このおはなしの主人公である男装の女公爵エリスの帝都での寵姫モデルのはなしをしようかと。

ファルネジーナ宮殿を飾るラファエッロ作「ガラテアの勝利」。インペリアの面影を伝えるといわれています

 

遊女 インペリア : ルネサンスのセレブたち

 
cucciolaさんの記事を☆
勘のいいひとは、これだけでもう、あるていど筋というかキャラクターの関係が「読め」ちゃうw
あと個人的に、塩野七生さんの都市三部作の『黄金のローマ』ちょーおすすめ。
ローマの高級娼婦のはなしなのだ。

あ、いちお三部作全部はるね!

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)

 

 

銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件 (朝日文芸文庫)

銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件 (朝日文芸文庫)

 

 (このはなしにはサンドロの『神曲』が小道具で出てくるので大変におすすめ!)

黄金のローマ―法王庁殺人事件 (朝日文芸文庫)

黄金のローマ―法王庁殺人事件 (朝日文芸文庫)

 

 これ、前もどっかで書いたけど、塩野さんらしいなあって。

わたしはすごく好き。じぶんが美貌と才知の持ち主ならこういう人生アリだとおもう。運に賭ける、という張りも含めて。もちろんそれは「持てるものをもった強者」であるという覚悟をもってのぞむ人生なわけですが。剣士が好きとかいってるのと同じ根っこなので、わたし、危ないひとだとおもいます、わらわない。

 

三部作なので、できたら、というか、ヴェネツィアから読まないとあれだとおもいますと言っとくね。いちおミステリ形式でもあるので、いや、すべての物語はミステリでもありますけど。



そうそして、
フィレンツェには名高い遊女というのがいないのですな(少なくとも一次資料でこのひとって、誰でも知ってるひとは出てこない)、やはし「虚飾の焼却」なんてのがあったせいか、それにともなう都市民の気質によるものか(これは、あるとおもってる)
(もちろん、わたしが知らないだけで、もっと調べたら出てくるのかもしれないのですが、でも、ルネサンス期のはなしはそれなりに邦訳が出てるのでそこになければやはりマイナーといって許されるとおもいます)

そういえば、
わたしというひとは都市を書くのが好きてのは確実にあるような気がした
都市国家含めて
うん、田舎より都市のが好きなんだろうな、わたし(田舎生まれだからw)
by florentine(磯崎愛) 2012/12/24 21:51:36
(加筆訂正あり)

 

 いちお、

わたしは「女性表象」、またその歴史、というのにずっと興味があって書いてるので、そのへんの捕捉として。

 とりあえずまずこれを推しておきます。読みやすいし!!! 

高階先生は名文を書かれる方だなあと、すごく憧れる。

あと、このへん。

女性の美と徳について (ルネサンスの女性論)

女性の美と徳について (ルネサンスの女性論)

 

 これ、すごくおもしろかったよ!

この本でたしか、岡田さんと水野さんという方々の名前をおぼえたような。たしか、たぶん。出てすぐ、くらいに読んだんじゃないのかなあ、たしか。

ルネサンスの女性論〈1〉 (ルネサンスの女性論 1)

ルネサンスの女性論〈1〉 (ルネサンスの女性論 1)

 

 それからこれもそのころに読んだ。

それで、なんだかこれは読み逃してたような気がする。

女性の美しさについて (ルネサンスの女性論)

女性の美しさについて (ルネサンスの女性論)

 

 あと未読ですが。

女性の表象学: レオナルド・ダ・ヴィンチからカッリエーラへ (イメージの探検学)

女性の表象学: レオナルド・ダ・ヴィンチからカッリエーラへ (イメージの探検学)

 

 読む予定です。

歓びの野をつづれ織る2  原典訳や映画のある有り難さ

novel18.syosetu.com

 

kakuyomu.jp

 

そういえば、またあとでおはなしすることがあるとおもいますが、

塩野さんのこの本がやっぱりこのおはなしの最大のインスパイア元だろうなあと。

ルネサンスの女たち (新潮文庫)

ルネサンスの女たち (新潮文庫)

 

 小学生でしたね。

そのころにはもう、わたし、ルネサンス大好きっこでしたから。

だいたい自分の好きなものっておおよそ幼稚園から小学校時代に確定してる。

トミノ御大も小学生くらいまでに興味あったことやりなさいって何かで言ってらしたような気がするからそれでいいかなあってw

もちろんそのあとも好きになったことはいくらでもあるんですが、基礎となったものはけっきょく、コドモ時代から変わらない。変われない、でもあるのかもしれないけど。まあなんていうか、こんなふうに世の中の流れが早い時代にじぶんみたいなのは取り残されるだけだろうと嘆きつつ、それでもそうはなれないので愚直にいくよ。

 

さて、「蒼1」で出てきたルネ・ド・ヴジョー伯爵の父親の亡くなるところのエピソードはまんま、このひとがモデルになってます。
(ばらしていいんですか? ていうより、こういうのがやりたくてやってるので、ねw)
こちらが詳しいかな。

www.europe-z2.com



それから、これ見たひといらっしゃると嬉しいんですが。。。

eiga.com



この映画がもう、ほんとうにすばらしくて、ですね!!!

 

『ジョヴァンニ』を観て思ったこと…

http://www.din.or.jp/~grapes/doraku/file51.html

 

 
この映画ムチャクチャ無茶苦茶大好きなんですけど、もいっかいみたいなああああ(映画館でみたよv)

 

 

それからここで、

ちょっこっと翻訳についてなど。

このジョヴァンニのいた戦場で問題になるのが「大砲」です。
で、これなんですが、2000年代に出版された本で「軽砲」と訳してる本があってびっくりした。少なくともわたしの知るかぎり、80年代90年代の資料ではそんな訳は見た記憶がないのです。
で、ちょっとこのへんはまたさらに勉強しないとならんなあ、というあやふやなことを書いて、自分のメモにする、というw

(この小説内は「大砲」でいきます。これ、その当時もファンタジー書きさんと話して、耳馴染みを取るよね、てことになったのでした)
(いちおブクマ等はしてあるんですが、新しい知識知見等をとりいれると小説の世界観と語の統一が難しくなるからタイミングを見計らうのが大変だったりする。読んだ資料を捨てるほうが大事、みたいなこともある)
ルネサンス期はでも、資料が続々バリバリ翻訳されてるので、1991、2年のわたしが知ったらほんとにびっくりするとおもう。美術方面ではシャステルもヴァールブルクも日本語でよめるなんてって! それだけでなくポリッツィアーノもだよって一次資料だよって涙目だよマジで、そういう恩恵は受けるのです。もう「動かないもの」はありがたい古典万歳!(解釈の件はいわないでw))
by florentine(磯崎愛) 2012/12/18 20:11:58
(読みづらかったので一部リライトなど)

 

 

そうそう、うえであげたポリツィアーノ

原典 イタリア・ルネサンス人文主義

原典 イタリア・ルネサンス人文主義

 

 

書籍の目次

解説 イタリア・ルネサンス人文主義

1 フランチェスコ・ペトラルカ
   「イタリア誹謗者論駁」

2 コルッチョ・サルターティ
   「僭主論」

3 レオナルド・ブルーニ
   「ピエトロ・パオロ・イストリアーノに献じられた対話篇」
   「ナンニ・デッリ・ストロッツィに捧げた追悼演説」

4 ピエル・パオロ・ヴェルジェーリオ
   「パウルス」

5 ポッジョ・ブラッチョリーニ
   「貪欲論」

6 フラーヴィオ・ビオンド
   「イタリア案内」

7 ジャンノッツォ・マネッティ
   「フランチェスコ・ペトラルカの生涯」
   「ジョヴァンニ・ボッカッチョの生涯」

8 レオン・バッティスタ・アルベルティ
   「文学研究の利益と損失」

9 ロレンツォ・ヴァッラ
   「快楽論」

10 ピウス二世
   「覚え書」

11 マッテオ・パルミエーリ
   「市民生活論」

12 イゾッタ・ノガローラ
   「アダムとエヴァの罪の同等性あるいは非同等性について」

13 クリストーフォロ・ディ・バルトロメーオ・ランディーノ
   「カマルドリ論議

14 ジョヴァンニ・ジョヴィアーノ・ポンターノ
   「アエギディウス」

15 バッティスタ・グアリーノ
   「教授と学習の順序」

16 ロレンツォ・デ・メディチ
   「アンブラ」
   「謝肉祭の歌」

17 アンジェロ・ポリツィアーノ
   「ジュリアーノ・デ・メディチ殿の馬上槍試合に捧げるスタンツェ」

18 ヤーコポ・サンナザーロ
   「アルカディア

19 ピエトロ・ベンボ
   「アゾラーニ」

20 ジョヴァンニ・デッラ・カーサ
   「ガラテーオ」

原典イタリア・ルネサンス人文主義 « 名古屋大学出版会

 

(いやもう、これが出たときのわたしの感激っぷりってばさー、みたいな。

外国語や古い言葉は読めなくても現代日本語は読めるからね!)

 

歴史物は資料調べがめんどくさいっていうひといるけど、

わたし、外国語じゃないかぎりにおいては嫌いじゃない。まあその、手に入りづらいからめんどくさいけど(めんどくさいんじゃんw)、

いや、読むのは嫌いじゃないの、うん。

 

「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美 」展が楽しみすぎて!

ボッティチェリルネサンス フィレンツェの富と美 | 展覧会
Bunkamuraザ・ミュージアム(東京)
会  期 2015年3月21日(土・祝)〜6月28日(日)
*4月13日(月)と4月20日(月)のみ休館
開館時間 10:00〜19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

 

もうちょっとですね。ほんっとおおおおに、すっごく楽しみです!

お恥ずかしながら、卒論このひとで書いたものですから。

去年から今年にかけて都内でたくさんのサンドロ作品(工房含む)やフィレンツェ芸術作品を拝む(おがむ、ですよ!!)ことができて、わたし、ほんとうに本当に幸せです!!!

 

ボッティチェリというひとがどういうひとかというと、まずはきっと《春》と《ヴィーナスの誕生》の画家というのがもっとも通じやすいでしょう。

そうでないふうに言うとすれば、あとであげます辻邦生さんの『春の戴冠』という小説のとおり、わたしにとってはこのひとこそが、あの美しいフィレンツェという街の「魂の体現者」、その「象徴」であったのではないか、というふうに感じています。

彼は修業時代にプラートという街に、またピサにもほんの短期間いったりした様子もないわけではないのですが、招かれていったローマを抜いてはその一生のほとんどをフィレンツェという土地で過ごします。

いや、本人はどこかよそに行きたいという気持ちは実のところもってたようなんですが。図らずも、そう、なってしまったのですね。

レオナルドもミケランジェロも長いことフィレンツェを離れたというのに、彼はそこで生まれ、絵を描き、その街で亡くなりました。お墓も当然、フィレンツェにあります。

ルネサンスという、人類史上もっとも美しいとおもわれる文化芸術の花が咲いたのは、花の名前そのもののフィレンツェです。けれどその結実はそこになく、おそらくはローマ、その他の土地でつぎつぎと実を結びました。

わたしは、いつもそのことをおもいます。

というわけで、

展覧会のタイトル自体がまさにそれを思わせるものでしたので、

じぶん自身の予習と復習をかねて、手に入りやすくて読みやすいものから、ちょっと変わったのまで、おいときますね。

 

さて、まずさいしょはこの本です。

もっと知りたいボッティチェッリ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたいボッティチェッリ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

 

 先日東京都美術館での講演会をお聞きしてとても面白くて素晴らしかった!!!

あとでご紹介する、全作品の著者でもいらっしゃいます。

それから、こんなのもありますよ。

図説ボッティチェリの都フィレンツェ

図説ボッティチェリの都フィレンツェ

 

 たぶん、手に取りやすいのがこれかなあ。写真きれいで、フィレンツェガイドとしてもいいです。

ボッティチェリ (イタリア・ルネサンスの巨匠たち―フィレンツェの美神)

ボッティチェリ (イタリア・ルネサンスの巨匠たち―フィレンツェの美神)

 

 絶版じゃないとおもうんだけど、画集です。この東京書籍さんのシリーズはおうちにあってもさほどかさばらず、おすすめ。

ボッティチェッリ NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アートシリーズ)

ボッティチェッリ NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アートシリーズ)

 

 タッシェンも美術系の本屋さんならあるんじゃないかと期待。

それから、あとでまた言いますが、原寸があるのと高階先生が文章かいてるのでこれもおすすめです。

 それと、これ、専門書ですが制作年代が他の研究者とちがってて、興味深かったです!(個人的に同意はしないのだけど、でも)

ボッティチェリ「プリマヴェーラ」―ヴィーナスの園としてのフィレンツェ (作品とコンテクスト)

ボッティチェリ「プリマヴェーラ」―ヴィーナスの園としてのフィレンツェ (作品とコンテクスト)

 

 この本自体、フィレンツェという都市の見方としては面白かったかな。

あ、あと、古本屋さんででも見つけたら是非。

 どこかにあったら、これおすすめですね、はい。

ないとおもうけど。。。

それとこのへんもたぶん、ナイとおもうのだが、うん。

 これは、あるかな?

ボッティチェッリと花の都フィレンツェ (おはなし名画シリーズ)

ボッティチェッリと花の都フィレンツェ (おはなし名画シリーズ)

 

それと、これはあるだろうというのもあげておきますよ!

これは新しいから、ね。

ボッティチェリ 春の祭典 (イメージの森のなかへ)

ボッティチェリ 春の祭典 (イメージの森のなかへ)

 

 専門知識が要らない、という点ではこれもありかなあ。

学校の図書館とかにあるといいかんじです。お子様へのプレゼントとかにはこういうのがいいかも。

あと、これもそういう意味ではとてもイイ本です。

原寸美術館 画家の手もとに迫る

原寸美術館 画家の手もとに迫る

 

 この表紙が、もう、ね!!!

(わたしがどれほどサンドロのこのサンダルに憧れているかは、何度も語りすぎてキモイので今日は割愛しますがw)

それからこの本とかも。

サンドロのヴィーナスメインではありませんでしたが。

裸体画とヴィーナスについて等にご興味あるかたは面白いのでは?

ヴィーナス・メタモルフォーシス―国立西洋美術館『ウルビーノのヴィーナス展』講演録

ヴィーナス・メタモルフォーシス―国立西洋美術館『ウルビーノのヴィーナス展』講演録

 

 そして、

美術史というか、「見る」ということがどういうことなのか知りたい向きにはこちらも強烈にプッシュ!

『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待 (理想の教室)

『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待 (理想の教室)

 

岡田温司先生のご本はほんとどれよんでも刺激充分です。

あとは画集じゃなくて、ちょっと変わった本が読みたい向きにはこちらを絶賛おすすめです。

ヴィーナスを開く―裸体、夢、残酷

ヴィーナスを開く―裸体、夢、残酷

 

 残酷で、エロティックで、とても美しい本。

ちまたではGDHなどと略されるジョルジュ・ディディ=ユベルマン、わたしが初めて読んだの、これかなあ。なにこれ凄い大好きってなりました。

さらには、

正統派(?)でしたら、やはりこれ、でしょうね。

 これ何度もなんども読んでるんですけど、

読むたびに、ヴァールブルク、なんていうひとでしょうなんていうひとでしょう、どういうことオソロシイ、なにこれ、どういうこと? ここにその後の何もかも全てあるじゃないの、どういうこと? なんて恐ろしい! て怖い気持ちになれます。処女作はうんたらみたいなはなし、あるじゃないですか? あれの底深さを体感できるので、そういう意味でもおすすめかも。

そして、この本は、ヴァールブルクのそれに限らず、その後のサンドロ研究という点でも深遠なものを感じられるので(←いや、わたし研究者じゃないからよくわからんけどねw)

それと、こういうのもあります。

ボッティチェリ

ボッティチェリ

 

 これ、英語版をもってるのだが。。。ははは。

ということで、

どうせなので、あげておきませう。

日本が誇る矢代幸雄。ライトボーンの著書ではイロイロ書かれてましたがでも、わたし、このひとがいうところのサンドロがいちばん自分のおもうそれなのです。

サンドロ・ボッティチェルリ (1977年)

サンドロ・ボッティチェルリ (1977年)

 

そして、摩寿意先生のご本がないので、お名前だけ貼っておきます。

 

摩寿意善郎 - Wikipedia

 

前もかいたけど、辻邦生さんの『春の戴冠』のサンドロは摩寿意先生説。

春の戴冠〈1〉 (中公文庫)

春の戴冠〈1〉 (中公文庫)

 

 えーと、

すごくぶっちゃけちゃうと、たぶん、この上下にある本たちを読むより、この『春の戴冠』全三冊を読むほうが、おそらくサンドロ・ボッティチェッリというひとと当時のフィレンツェについて理解するの楽、かもしれないです。ほら、小説だから。

しかも、美術史を勉強した方ではご存じの方も多いでしょうが、辻さんの奥さまは辻佐保子さんという美術史家です。

そして辻邦生さん自身、たしかパリの図書館で見られるかぎりの資料はすべて読んだとおっしゃってますし、うん。

なので、絶賛おすすめです!

でもって、

オチはこれだ!

ボッティチェッリ全作品

ボッティチェッリ全作品

 

 もってるのよ、うん、

わたしってば、ほんとにもーねー。はははははw

 

それから、

いちおううえで辻さんの小説をおすすめしておきましたが、

ルネサンスとは何かとか、フィレンツェとは何か、ていうはなしを知りたい向きには、いきなりブルクハルトの『イタリア・ルネサンスの文化 (上) (中公文庫)』『イタリア・ルネサンスの文化 (下) (中公文庫)』を読むのはハードル高いとおもいますので(いや、読むと面白いですけどね。ていうかわたし、新訳よんでないって何度言っただろうw)

ルネサンスとは何であったのか (新潮文庫)

ルネサンスとは何であったのか (新潮文庫)

 

 やっぱり読ませる、という意味ではもう、塩野さん凄いですよ。

文庫ですし、さらっと最初に読むにはおすすめです。

ペンブックス18 ルネサンスとは何か。 (Pen BOOKS)

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あと、こういうのとか。手に取りやすいですし、こういうところから入るのがイイんじゃないかなあ。

それと、これもおうちにあってもいいかも。受験生のお子さんとかいるお宅は。

世界の歴史〈16〉ルネサンスと地中海 (中公文庫)

世界の歴史〈16〉ルネサンスと地中海 (中公文庫)

 

 それから、このへんか。

文庫ですから、通勤のお供でもいいかも。古いのでいろいろと現代の研究とはズレが出てるところもあるかもしれませんが、ともかくおさえておくのにはこういう本が便利かなあと。

世界の歴史〈12〉ルネサンス (河出文庫)

世界の歴史〈12〉ルネサンス (河出文庫)

 

 そして、

個人的に大学生くらいだったら、これらの本がいいかなあと。

わたしの思い出の本でもある。

フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))

フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))

 

 

ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土 (中公文庫)

ルネッサンスの光と闇―芸術と精神風土 (中公文庫)

 

 

 この三冊は強力プッシュしておきますよ!!!

高階先生のご本は、まず日本語がとても美しい。明晰ですし、ほんとに名文だと思われます。

あとは、これ、か。

フィレンツェ (講談社学術文庫)

フィレンツェ (講談社学術文庫)

 

若桑先生のご本も大好きです。

 あと、ガイド本として。

フィレンツェ美術散歩 (とんぼの本)

フィレンツェ美術散歩 (とんぼの本)

 

 というかんじで、

あんまり専門的なのをあげて書けるだけのなにかもないので、このへんで。

フィレンツェ社会全般についてはもっと他の本をあげないといけないですしね)

 

あ、そうだ、

このへんも、おいときます。

サンドロ・ボッティチェッリ カテゴリーの記事一覧 - がらくた銀河

 


辻邦生『春の戴冠』とルカ・デラ・ロッビアの《カントリア》 - がらくた銀河

 


サンドロ・ボッティチェッリの『神曲』素描 - がらくた銀河

 


花ちゃんと都ちゃんの「ボッティチェッリ画『神曲』素描地獄篇」漫談 その2(文字通り、シモネタですのでご注意を! 笑) - がらくた銀河

三島由紀夫『小説読本』と澁澤龍彦『イタリアの夢魔』についてなど

昨日の補足的に。

「虚実」のはなし、でもある。

あと誰かに書いて欲しい「澁澤×三島=親王攻め塔の上の王子様受け」的な薄い本のためのメモ的に(スラッシュとして、この「×」の前後、その順番は正直逆でも裏表どちらでも読ませていただけるならいつでもお待ちしております! でも、わたくし的には三島は「受け」以外できないひとだから、なにせ塔の上の王子様なのでじぶんからイケないのさ、かわいそうに。塔は攻め落とされるものであって、でなければ攻め入らせるかそこから降りていかないかぎりは孤独なのだ)

まあ、そういうのはおいて。

ちょっと真面目に、小説のはなし。


ひとり三島由紀夫祭り♪ - がらくた銀河

 

ぐぐったら、こちらさまにけっこう長い文章がおいてあったので、是非とも読みにいってみてくださいまし。

 第五章 『遠野物語』番外編
「炭取りの廻る話」の巻
三島由紀夫遠野物語』を語る『小説とは何か』から

 

その原因はあくまでも炭取の回転にある。炭取が「くるくる」と回らなければ、こんなことにはなら なかったのだ。炭取はいわば現実の転位の蝶番(つなぎ目の金具)のようなもので、この蝶番がなけれ ば、われわれはせいぜい「現実と超現実の併存状態」までしか到達することができない。それから先へ もう一歩進むには、(この一歩こそ本質的なものであるが)、どうしても炭取が回らなければならない のである。しかもこの効果が一にかかって「言葉」にあるとは、驚くべきことである。舞台の小道具の 炭取では、たといその仕掛けがいかに巧妙に仕組まれようとも、この小話における炭取のような確固た る日常性を持つことができない。短い叙述のうちにも浸透している日常性が、このつまらない什器の回 転を真に意味あらしめ、しかも『遠野物語』においては、「言葉」以外のいかなる資料も使われていな いのだ。


 http://home.cilas.net/yunami/monogatari/monogatarimisima.html

 

これもおいとくね。

 

柳田国男 遠野物語

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

 

 

遠野物語

遠野物語

 

 いやほんと、

三島のね、この、ね、

この言いっぷりがねー、ほんとね!! 太字でおいておくよ。

しかもその力は、長たらしい叙述から生まれるものでなくて、こ んな一行に圧縮されていれば十分なのである。しかし凡百の小説では、小説と名がついているばかりで 、何百枚読み進んでも決して炭取の回らない作品がいかに多いことであろう。炭取が回らない限り、そ れを小説と呼ぶことは実はできない。小説の厳密な定義は、実にこの炭取が回るか回らぬかにあると言 っても過言ではない。

 

小説読本

小説読本

 

 

なんかもー、ほんっとにごめんなさいっ!!! ておもいながら書いてますけど、うん、ホントにごめんなさい、はい。

(いちお、ここで回せた! とおもえたこともあるのだが、しかし、毎回まわさないと意味ないしねええええ 嘆息)

 

 せんじつ三島の美的センスを一切信用しないと書いたわたしですが(小説における美意識は信用も信頼もしてますが)、この普及版じゃないほうを見て、あとよくいわれるアメリカのでぃずにーらんど好きの件も考えあわせますと、ですね。*1

三島由紀夫の家 普及版

三島由紀夫の家 普及版

 

いや、三島の趣味というものとしては常に一貫してるんだけど、ねw

 いっけん壮麗でかつ途方もなく「空虚」という。

外連味、舞台の書割りとか、ね。

バロック絵画、たとえば日本の美術館だときっと展示映えしないよなあていうあたりを踏まえて、こう、ね。違和感、というか、ね。

三島の風景描写の書割りっぽさていうのはほんと特筆すべきものというか、いや、あの平らで色彩ぺったりな「風景」のなかにああいう人物が配置されてるからああいう話しなのだし、それは、これ以上なく「らしい」から一貫してるのだけど、

それをわたしが本当に好きなのかというと、実は、なんか、チガウんだろうなあっていうのもあって。

 

 

三島は本当に死にたいと思っていた人で、生きている実感がもてなかったのではないかと高橋さんは考える。

【報告】高橋睦郎講演会「三島由紀夫と私と詩」 | Blog | University of Tokyo Center for Philosophy

 

これ、行きたかったけどこのときもわたし、怪我をしていて、だね!(怒)

それで、ようやく出てきたのではるね

*2

イタリアの夢魔 (ランティエ叢書)

イタリアの夢魔 (ランティエ叢書)

 

この本のイイところ、素晴らしいところはもう、イタリアに特化してるところで、わたくし、この本よんで三度目のイタリア、つまりシチリアへ旅立ちましてございます。

中世シチリア王国 (講談社現代新書)

中世シチリア王国 (講談社現代新書)

 

 シチリアの旅行ガイドじゃなくて、このへんの歴史に関する日本語で読める本てあんまり知らなくて。これがいちばん読みやすくてまとまってるかな、おすすめです。

アラブ・ノルマン王国、それからフランス支配の歴史。はたまたギリシャ遺跡、ともかく地中海世界そのものの魅力。

わたしをシチリアへ誘ったのはやはり、ゲーテでも、辻邦生さんでもなく、じつのところ中学高校時代に読み漁った澁澤だったなあっておもったのです。というわけで、バゲリアにある奇怪なパラゴニア荘にはもちろん行ってます。行けなかったところもたくさんあるけど。

あと、グロッタ(洞窟)とグロテスクへの偏愛、ね。

えーと、それで、この巖谷國士の解説「イタリアとの出会い」についてのはなしはあとでするとして、この本は見つからないでしょうから初出おいとくね。

ヨーロッパの乳房 (河出文庫)

ヨーロッパの乳房 (河出文庫)

 

 きんどるもあるのね。

 タイトルが、もう、いいよね。イタリアの乳房ってもう、だってねええ? 甘美である以外の何ものでもない、ていうかんじがするもんね。

 福武で、読んだ気がしたからはっとく、うん、こっちだ。

マルジナリア

マルジナリア

 

 あとこれね。いまは文庫か。

滞欧日記 (河出文庫)

滞欧日記 (河出文庫)

 

 あー、ほんと、河出でちゃんと出てるんだなあ、新しく!

 なちゅかしー!

チュウニ病者に毒薬はもう必須ですよw

毒薬の手帖 (河出文庫 し 1-6 澁澤龍彦コレクション)
 
華やかな食物誌 (河出文庫)

華やかな食物誌 (河出文庫)

 

 澁澤はかたはしから図書館で読んで、ほんとに大好きなのは買った、みたいなかんじ。

それで、はなしを巖谷國士の解説「イタリアとの出会い」に戻す。

ここに、澁澤の見送りに三島がきたはなしがあって。つまり巖谷氏もその場にいたわけで。

ところがそのうちに、三島由紀夫があらわれた。しかもその登場ぶりは、かならずしもふつうではなかった。「楯の会」の制服を着こんで、制帽をかぶって、せかせかと近づき、渋澤さんの前に直立したかと思うと、大声でなにか喋りはじめた。

 内容は旅行中のアドバイスだったみたいなんですが、尋常とは言い難い、よねえ。よく知られるエピソードなので、知ってるひとはしってることでしょうが、書いとくね。

で、澁澤の『滞欧日記』には三島と「聖セバスティアヌス」のはなしがよく出てくる、という次第なのである。

仮面の告白 (新潮文庫)

仮面の告白 (新潮文庫)

 

 

薔薇刑―細江英公写真集

薔薇刑―細江英公写真集

 

 

芸術家はだれでも自分自身が芸術そのものになりたいという願望があるんだそうですよ。でも恥かしくてそれを口に出せないだけなんです。私小説で自分がみっともないかっこうをして、薄ぎたない恋愛をするのを書くのも、その姿が芸術だと自信がなくてはできることではないでしょう。私はが書けないですが、あれは写真家と共同の詩的作業なんです。写真の詩集なんだと思っています。

「日本一の被写体――三島由紀夫氏」(細江英公三島由紀夫へのインタビュー記事)[3]

 

薔薇刑 - Wikipedia

 

写真集 三島由紀夫 '25~'70 (新潮文庫)

写真集 三島由紀夫 '25~'70 (新潮文庫)

 

 (これ、見たことない、どんなだろう?)

 高橋さんは、「ポエジー」(実在)と「ポエム」(詩作品)を区別し、「ポエジー」から送られてきた何かを言葉にしたものが「ポエム」だという。ただし、ポ エムはいつもポエジーの受け取りそこないであり、捉えそこないであって、そこには必ず誤差が潜んでいる。しかし、詩人はそのようなものであり、自分はいつ も主体ではなく受け手だという自覚があると高橋さんはいう。

ところが、三島はすべてにおいて主体性をもたなければならない人だった。それは肉体的なコンプレックスをはねかえすということとも関わりのあることだが、とにかく三島においては受動的な立場にいることは容認しがたいことだったのである。

【報告】高橋睦郎講演会「三島由紀夫と私と詩」 | Blog | University of Tokyo Center for Philosophy

 主客のモンダイはひじょうに難しいのでここではツッコミません。

とまれ、

 かつてはたしかにブッキッシュっであり、何ごとも書物経由で語ろうとすることの多かった澁澤さんが、その書物を通じて知った「眷恋の地」を実際におとずれたとき、もはや書物とは無縁の、自然との出会い、偶然への反応を示しているということに、なによりも貴重なものを感じたからである。

(略)

すなわち、束の間ではあれ感覚の解放を味わっていたことは大きい。

 

 巖谷國士の解説「イタリアとの出会い」『イタリアの夢魔』より

 

ようするに巖谷氏いわく、澁澤は帰国してしばらくしてのち三島由紀夫の事件に遭遇し、もしもそのときに澁澤が「南」を体験していなかったなら、その対応は違ったものになっただろう、ということで。

わたしもこれに異論はない、きっと、ちがっただろうなあ、と。

二十歳のとき、パリからどんどん南へ、それこそ南仏へとバス旅行でくだっていったときの光の違い、その艶やかな、蜜のようにひたふるそれ、そして地中海の美しさというのはたとえようがなくて。

イタリアの、春と夏しか知らないんだけど、やっぱり南へ行けばいくほどに甘美で、ほんとうに美しくて!*3

わたしにとって澁澤と三島どっちがエロいひとかというと、三島のほうがエロいよなあとおもうのは、その徹頭徹尾「言語」に淫するところで。

そのいっぽう、幸福なんぞより快楽のほうが大事と言いきっている澁澤はでも、「官能」というものを知ってしまっていて。なんとなしに、その虚実の折り合いのつけかた、おとしどころとしての結実がこれだったのかなあと。

夢、というのはこう、ひじょうに官能的なものよね、と。

高丘親王航海記 (文春文庫)

高丘親王航海記 (文春文庫)

 

 そんなはなし。

またね☆

*1:ルネサンスの城が欲しいだか住みたいというジャン・ジュネの美的センスについては常に、いつなんどきでも信用信頼しているが!

*2:ぜんぜん関係ないけど、この本のなかに出てくる陶芸家N氏について画廊主から名前が出たときに、あれ、なんかそのひと知ってる、ておもって澁澤 のこの本にいきつくまでのわたしの脳内時間というのは何か不思議な体験だったので、どーでもいいことですが、書いておきます。書物のなかでしか知らなかっ たひとが、じぶんの生活の場所に名前を出す瞬間の不思議、みたいなやつ、ね。そして残念ながらわたしはお会いしたことがないw

*3:エキゾチスム(オリエンタリズム)とかイロイロ考えちゃういっぽうで、でも南の官能性ってじぶんがそこへ行ってそう感じてしまったら、申し開きようもないところがあるのだ