がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

わたしの好きな〈未来の文学〉

今週のお題「10年」

はてなブックマーク10年ということで本当におめでとうございます!

わたし、はてブはないとホントにやってけないんで、末永くお願いいたします、ちょーマジで!!!

てことで、

さて、

10年というとこちらが盛り上がってるなあというフェアのご本を、わたしのはてブを交えながらご紹介してこうかなと。もうね、大好きすぎて、ですね!

〈未来の文学〉刊行開始10周年記念 フェア開催!|最新ニュース|国書刊行会

未来の文学〉刊行開始10周年記念 フェア開催!

失われたSFを求めて――
60~70年代の幻の傑作SF、その中でも本邦初紹介の作品を中心に厳選したSFファン待望の夢のコレクション。

国書刊行会の人気SFシリーズ〈未来の文学〉がお陰様で刊行開始から10年を迎えました。
これを記念して、各書店にてフェアを開催しております。
最新刊『ドリフトグラス』までの17冊が一挙に並ぶこの機会に、是非店頭へお運びください。

◎フェア開催書店にて10周年記念パンフレット配布中!

 リンクからお近くの書店を探してパンフをゲットだぞ☆

 これ、これ、ほんとコレですよ!!!(もう読んだ)

国書さんの〈未来の文学〉シリーズの恩恵ってわたしにとって計り知れないし、なんかもう「滋養」としか呼びようがないくらい凄いものをもたらしてくれたなあっておもってる。ていうはなしはいつだったかのSFファン交流会のアンケートでも熱く語った気がしますですはい。

で、

えっと、じぶんがよんでるのをまず並べてきますね。

わたしのジーン・ウルフたぐ、充実してるよ!(えっへん)

ジーン・ウルフに関するflorentineのはてなブックマーク

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

 

 これがはじめ。

これがさー、ほんとにもー、これが本当に物凄かったのがホントにすごかったよねーーー!!!(←コウフンして日本語しゃべれなくなってるw)

んとね、何よりもまず、フローベールの『三つの物語 (岩波文庫)

』でしょう、語らなければならないものは。三つの叙述スタイルについて。カルヴィーノ様をして完璧な物語と言わしめた、あの奇跡のような三つの物語! そして、フローベールから連なるプルースト、ていうふうにどんどん繋がってくのがこれがもう、ね。タマラン!

あと、個人的に気になっているのは、川下り、狂言回し、現地人、フランスの物語背景となると『トウェイン完訳コレクション ハックルベリ・フィンの冒険』や、シャトーブリアン墓の彼方の回想 (1983年)』あたりも、ウルフの頭の中をよぎったとしてもあまり不思議ではないような。

それと、ラファティの『子供たちの午後 (Seishinsha SF Series)』「パニの惑星」なんかも同じ問題意識というかにあるのかなあ、と。

わたしはキリスト教文学そのものはちゃんと読んでなくて教父物とか未読ですからアレですが*1、ともかくあの一連の作品群をウルフやラファティは読んでるだろうし、て考えるとねえ。ラファティのあの肉体破損的な残酷描写、あれ、やっぱりカトリックの殉教もの読まされて育ったから、みたいなのはあるんじゃないかなあって、ね。

あ、ラファティにはなしがズレた。

でも、ウルフとラファティはなんか二人同時に考えてもイイ作家なのだ、わたしのなかでは。

あ、これだけ言わせて!

ケルベロス第五の首』とレイフェルおじさんの『地球礁』を読むと、わたしはヴァールブルクの『蛇儀礼―北アメリカ、プエブロ・インディアン居住地域からのイメージ(ヴァールブルク著作集7)』を思い出します。なんかね、わたし、このふたりにはヴァールブルクみたいなひとのやってたシゴトの匂いを感じるのだ、ものすごく。

てことで、またいつか、ね。

で、

えっと、つぎはこれ。

エンベディング (未来の文学)

エンベディング (未来の文学)

 

 あ、わたし、これ意外と好きです。

あとがきで訳者の山形さんがなんか可哀そうな感じの言いっぷりで色々おっしゃってましたけど、この瑕があるといえばそりゃそうなんだろうけど、ていう脱力系というか、なんていうんだろう上手く言えないけど、こういう感じのトンデモっぽいの好き。なんかこうツッコミ入れたくなるぐだーってしてる感じとか、「SF」プロパーとされる作品と「文学」と呼ばれるようなものとの境にあるものが持ってしまう宿命的な何か、という感じもしなくない、というか。いわゆるエンタメ枠に入ったらもう駄目出しするしかないんだけどさー、でもさー、みたいな(←通じる? 通じてる??)。

わりと、そんなんで、これは思い出深いです、はい。

で、つぎはこれ。

トマス・ディッシュに関するflorentineのはてなブックマーク(これはリンク切れもあるかも)

アジアの岸辺 (未来の文学)

アジアの岸辺 (未来の文学)

 

 ディッシュはあれです、殊能せんせーが土下座して教わりたいって書いてらしたよね、たしか。

ちょっとクセモノっぽさがあるかな。お友だちの編集S氏(インテリヤクザみたいな編集者兼ラジオの音楽番組出演者)の超絶おすすめ作家です。わたしもディッシュ大好きだけど、S氏の愛のほうが深いものがあるので書いておきます。

あと、お洒落な海外文学読みな女性はきっと好きかも。

 「降りる」の、ダンテ『神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)』のガジェットとしての扱い方なんかもさらってしててカッコいいんだよねえ、ディッシュは。それから「犯ルの惑星」のトンデ モおふざけ感も妙に垢抜けてるし、なんだろう、こういうのって野暮なふうにやるとアッタマ来るじゃない? それがないんだよねえ。

イチバンはでも、表題作です。これはわたし、当時 読んだとき電車酔いしたのかとおもうくらいに眩暈がした。あ、これ凄い、てなったので特別な作家です。

むかし書いたのはっておくね。

その端正な魅力でわたしを魅了してくれたのがこの方。
トマス・M・ディッシュ

亡くなってしまったのが残念で仕方ないです。
という、湿ったはなしではなくて、やはりここでは彼の魅力を語らなければ!
都会的でスタイリッシュ! ビターでブラック!
大人のかっこよさ満載のディッシュ。
おこちゃまにはそれゆえに憧れで、オトナには居心地よく、読後感の良さ悪さ、その計算されつくした嫌味なほどの味わいも、すかしてると思いつつ、タマランなあと浸りたくなります。
ほんともう、意地悪度120%! 物書きとしてこんなに素晴らしいことはない。
そんな小説家だと思います。

唐突に思い出しメモ。否、「今年の10冊(!?)」への準備運動。 - がらくた銀河

 つづいて、こちら。

スタージョンに関するflorentineのはてなブックマーク

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

 

 さいしょにスタージョンを読むのにこれをおすすめはしないとは思う。

でも、SFってジェンダー系のテーマを扱うのにとっても優れてるとおもってて、スタージョンがこういう小説書いてくれていてよかった、ていう想いはある。これ、書かれたのが1960年なんですよね。

現在のこの世の中、どうなんだろうな、て。同性婚が認められた地域があるいっぽう、恐ろしくおぞましい差別のニュースもTLに流れてくる2015年という今の時代、ていうことを考える小説でした。

あと、なんだろう、スタージョンて「不思議」ていう言葉が似あいません?? 『不思議のひと触れ (河出文庫)』の印象かもですが、なんか、不思議ちゃん、ていうか。

わたしのなかではスタージョンて「不思議ちゃん」呼びです、うん。

そして、

わたしのブクマのなかでもわりと最大手なんじゃなかろうか、の。

R・A・ラファティに関するflorentineのはてなブックマーク

宇宙舟歌 (未来の文学)

宇宙舟歌 (未来の文学)

 

レイフェルおじさんについて語りだすと長いので、むかし書いた記事をはっておくよ、うん。

一言でいうと、わたし、このひとの姪っ子に生まれたかった、てことです、はい。


史上最強〈どーん!〉ボタン(ラファティ『宇宙舟歌』)、または「レイフェルおじさん」とわたし - がらくた銀河

 で、

またジーン・ウルフ様だよ、もう、言いたいことありすぎて困る。

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)

 

 ウルフ様は語りはじめると終わらないので前にハイクでつぶやいたのはっとくね。

前書がまた素晴らしいのです!
(そう、わたしはパラテクスト読むヨ☆ ウルフの語りに酔いまくり~)
そして、「アメリカの七夜」のタイトルは、『千夜一夜物語』の影響下にある、ボルヘスの素晴らしい書評集『七つの夜 (岩波文庫)』にインスパイアされていると、わたしは見ます。
いかがでしょ?
(それにしても、わたしってば「ジーン・ウルフはオレのもの」的独占欲にかられてきもすぎる 汗)

 どうして語りたくなっちゃうかだけいうと、

ジーン・ウルフという作家をよむのは古今東西のありとあらゆる作品を読むことの愉悦をまた自分の身に招きよせること、みたいな感じなんだよねえ。うん。読書の愉悦の連鎖、みたいな。あのおはなしキモチイイよねオモシロイよねアレ凄く面白かったよね僕はだからさらに面白く愉しくするためにこうする! みたいなことを言われてる気がする、というか。

で、

つぎはアンソロですね。

ベータ2のバラッド (未来の文学)

ベータ2のバラッド (未来の文学)

 

 これはディレイニーが面白かったなあ、『バベル17 (ハヤカワ文庫 SF 248)

』のほうがいいとおもうけど、こっから繋がるのかな、ていう意味でタイトルになってるのは当然かな、と。などと言いながら、わたし、ベイリーの「四色問題」の、いったいなんなのなんなのよくわかんないっ、でもそこがベイリーっぽい、それがイイっ! という気持ちにもなりました。あ、ここ読んでるひとなら知ってるとおもいますが、ベイリーの『禅銃(ゼンガン) (ハヤカワ文庫SF ヘ 3-1) (ハヤカワ文庫 SF (579))』と『カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)』が大好きなんです(じつは『時間衝突 (創元推理文庫)』を持ってる、て言えばわたしがベイリーファンだというのの証明になるでせうw)。

そうそう、ニューウェーブていうと、わたし、これを思い出して。

アレクサンドリア四重奏』(アレクサンドリアしじゅうそう、原題:The Alexandria Quartet)は、イギリス小説家ロレンス・ダレルによる長篇小説四部作。1957年から1960年までに発表された。

アレクサンドリア四重奏 - Wikipedia

 この序文だったかに「SFうんたら」て書かれてましたよね、うん。どっかにメモった記憶があるんだけど忘れちゃった。

わたし、アレクサンドリア四重奏の通俗メロドラマっぽさ大好きで(あと小ネタね、関東大震災クローデルの装束ネタとかもう最高に痺れたし、あ、そしてもちろんジュスティーヌが好きです大好きです)、ああいうのが好きなひとは未来の文学シリーズ自体に興味あるんじゃないかなあと。

それから、これ!

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)

 

 ものすご〜〜〜いドライヴ感!
グルーヴィーでセクシーで、お馬鹿でお利口で、クールでキッチュで、いっちゃってるのに実はすご〜〜〜く計算はいってる、こういう小説のようなオトコがいたら、わたしはそのままついてきます(笑)。
楽しくハチャメチャな恋愛生活に突入できそうだから。
これくらい弾けたいと思う今日この頃。
実はしっかり温故知新なこの小説、
基本は押さえておきたい小説読みさんにこそ、オススメですv

唐突に思い出しメモ。否、「今年の10冊(!?)」への準備運動。 - がらくた銀河

 またディッシュ!

歌の翼に(未来の文学)

歌の翼に(未来の文学)

 

 これはS氏からプレゼントしてもらったのです、いつもどうもありがとう。

とても切ない話しだった、タイトルから想像できるような飛翔のイメージの軽やかさ自由さが作中でも語られるんだけどそれは、ていうかんじ。とてもツラかった、なあ。いや、凄くイイのでおすすめなんだけど!

あと、ディッシュのおはなしはフレームが四角いような、枠がある、気がする。地平線をみはるかす、というかんじではないんだよね、わたしには。

でも、それゆえにこう、巧緻だし、綺麗だし、ていう感じもあるのだけど、あ、そうそう、ニューヨークが好きってディッシュはいってて、そう、あの街みたいなかんじなの。あの街はほんとにとっても魅力的だけど、あの矩形に整えられた道と垂直のビルの立ち並ぶ土地でわたしは長く寛ぐことが出来ないなあ、ておもいながらいつもディッシュを読む。田舎者なんだよね、わたしというひとが。ていうコンプレックスを刺激するひとでもあるw

で、

おつぎはこのひと!

ディレイニーに関するflorentineのはてなブックマーク

ダールグレン(1) (未来の文学)

ダールグレン(1) (未来の文学)

 

 

ダールグレン(2) (未来の文学)

ダールグレン(2) (未来の文学)

 

 表紙かっこいいいいい!!!

未来の文学のなにがいいって、内容ももちろんだけど、表紙がチョーかっこいいよね!!!! 声を大にしていっておく、表紙どれもこれもチョー素敵、かっこいい!

それからブクマにあるとおり、ディレイニーに関しては、ジャン・ジュネからの影響を安藤氏がTLでしてくださってたのが「やはり!」という感じで、ですね(でもツイート自体がもうない)。

わたし、あの、「睾丸の重みをはかる」ていう愛撫はジュネの影響だと思うの*2、チガウかな、それってゲイセックス等では一般的なのかな、わからない、でも誰か原文を比較して読んでるひと教えてぷりーず!

あ、当時トークショーがあって、それがとても刺激になりました。関連の記事をはっておきます。

丸屋九兵衛さんのディレイニーへの情熱が素敵すぎました。

http://elmaruyatch.bmr.jp/post/7307325977

エル・マルヤッチ powered by bmr :黒人ゲイじいさんの作りかた

で、

ここまで既読。

それから買ってあるけど未読。

 すみません、サインまで頂戴してるのに(とさりげなく自慢!)。

いや、ラファティ読むのはけっこうしんどいの、ズドーーンてくるし、すごく愛してるから。覚悟がいるんだよね、なんだろう、ちっとも軽くないんだもん、ラファティって。ジュネ読むみたいに力がいる。

でも、今みたいなときにこそ読めばいいのかな。*3

それで、

ここから下がまだの。

わたし、これ、なんで読んでないんだろう???

グラックの卵 (未来の文学)

グラックの卵 (未来の文学)

 

 プリーストは小説ムチャクチャ巧みだとおもういっぽうで、なんか、こう、ミソジニ―を感じてツラくて読んでない、ていうのが実情です。ごめんなさい、でも面白いものをかく小説家だとおもってる。

限りなき夏 (未来の文学)

限りなき夏 (未来の文学)

 

 ヴァンスはうっかり忘れてました、すみません。

ジャック・ヴァンスに関するflorentineのはてなブックマーク

奇跡なす者たち (未来の文学)

奇跡なす者たち (未来の文学)

 

 えーと、

今年度に入ってからなかなか本が読めなくて、ですね。ていう状況で、クロウリーは『エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)』も『ナイチンゲールは夜に歌う』も大好きなので必ず!

ジョン・クロウリーに関するflorentineのはてなブックマーク

 でもって、

ついさいきんですね!

 ディレイニーはBL好きなひとのなかでもメンズラブとかいう方面が好きなひとはきっと、何かでハマれるんじゃないかなあという気が。

あと、文学趣味なひと、だよね。

ディッシュもそういうところたくさんあるけど、ディレイニーもなんかこう、あ、そうだ。

あと、ディレイニーはエロい、かなあ。

それから変なふうに冷たくてドキってする感じがする。色悪めいてるというか、モテるよね、このひと、ていうのが文章から滲み出てるかんじのするところが魅力ある(でもイヤなひとはイヤかもしれない)。ダールグレンの三角関係のところの描きっぷりの自己陶酔感みたいなの、わたしは嫌いじゃないです、はい。

 

そんなこんなで、2005年当時すぐに読んでないのは、わたしがウツで引き籠ってたからですはい。お家で息するのも大変なかんじで寝てましたw

でもちょうどそのころ、小説を真剣に書いたらどうにかなるかも! て「勘違い」する事件があった年だったような*4。まあ、そういうのはどうでもよくて、あれから10年たって前よりは面白い小説書けてるような気がします(あくまで当社比w)

これからも、〈未来の文学〉よむよ!!!

*1:西洋美術史ゼミだったので『黄金伝説 1 (平凡社ライブラリー)』(ちなみに当時はこんなコンパクトな本で出てなかったよ!ありがたい)とかは読まされましたから聖人のアトリビュートなんかは知らないわけじゃないい

*2:ユリイカ2011年1月号 特集=ジャン・ジュネ “悪”の光源・生誕一〇〇年記念特集のなかの「アメリカに向けてジッパーを下ろす」に出てくる

*3:すぐに読んだ!

ラファティ『第四の館』よんだよー! - がらくた銀河

*4:掌編をプロに講評いただいたり友人と書いた小説が少女小説の最終選考になったと葉書一枚でお知らせがキタという生殺し事件w