がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

ラファティ『第四の館』よんだよー!

レイフェルおじさんの本せいで怖い夢をみた磯崎愛です、こんばんは!

夢の中で夢だってワカッテて「現実も辛いけど、ここコワイ、とても怖い!!! 早く覚めたいよーっ!」ていって泣いてた。

 あ、そうだ、これ、長編でも読みやすいラファティだ。

たぶん、みんな言ってるとおもうけど、話の筋がまっすぐなので構造を理解しやすい。謎があってそれを探ってくカタチ、秘密結社もので終末世界もので超能力バトル(!)みたいだし(そういうコワイ夢を見たんだよ! 涙)

傑作っていわれるのワカル、わたしにはとても怖い本でした。夢に見ちゃうていどには怖い。

ラファティすでに読んでるひとはおすすめするかなあ。

それと、こんかいちょっとエロい感じもした、いつもなんていうか極力エロくないふうに書いてるとおもわれるレイフェルおじさんが、ちょっと、あれ? いや、ひとつもこう、卑猥な語とかシーンとか出てこないけど、でも、なんていうか、あ、こんかいエロスとタナトスだ! 的なかんじもしたのでメモっとく(あ、つまり猟奇的なのはあるよ! しかも今回なんかいつもより壮絶な感じだったよ!)。

昨日、これ、書いて積読だったので読んだんですよ、はい。


わたしの好きな〈未来の文学〉 - がらくた銀河

 

えーと、うーん、と、秘密結社もの、ていう意味では、エーコ先生のこのへんに似てる??? (わたしはエーコ先生の最高傑作はこれだと思ってます、じぶんが読んだもののなかでは)

フーコーの振り子〈上〉 (文春文庫)

フーコーの振り子〈上〉 (文春文庫)

 

 

フーコーの振り子〈下〉 (文春文庫)

フーコーの振り子〈下〉 (文春文庫)

 

 あ、あと、秘密結社ものっていったらこれか。

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット

ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット

 

 いや、それチガウだろうっていう全力の突っ込みが「ラファティ愛好者」から入りそうな気もしつつ、うん、まあ、それはそれ、というか(←をい!)。

なんかこう、「綺麗なジャイアン」的に、「長編でも途中でわけわかんなくならない読みやすいラファティ!」ていうのを煽るのもイイんじゃないかとこのままでw

とか言いつつ、

わたし、ラファティの長編読みにくいとかおもったことないんですけどね。

で、

ここからわたしのメモです。

昨日のブログでラファティジーン・ウルフキリスト教父もの等は読んでるだろうっていうふうに書いたんだけど、教会博士のほうが正確ですね、すみません。アビラのテレサなのだから。

そんなこと書いてたらフランス中世やると必ず出てくる碩学エティエンヌ・ジルソンの『絵画と現実』が登場するものだからもう!

絵画と現実

絵画と現実

 

 岩波で絶版。すみません、そしてわたしも未読。

フランス中世哲学の碩学が,タブローとしての絵画の意味を明らかにし,絵画表現の本質について哲学的考察を試みた興味深い美術論.芸術の創造性,絵画の現実性,そして画像の本質を具体例により明解に説き進める

絵画と現実

 こんかいしょっぱなのキャラ紹介のところでやけに画家の名前がずらずらと出てくるなーっておもって。わたし、あんまりラファティの小説内で画家の名前があんなふうに出てくる記憶がなくて、他にどんな画家名でてましたっけ??(これ読んでるラファティファンの方、画家の名前でてきてたら教えてください!)。

 

ジルソンに関するflorentineのはてなブックマーク

 

エティンヌ・ジルソン、『アベラールとエロイーズ』は先日読みかえしたのです。

で、ちょっとさっき調べてたらアンリ・フォションの『形の生命』を「全面的に支持」て出てきて、あーなるほど、と*1

改訳 形の生命 (平凡社ライブラリー)

改訳 形の生命 (平凡社ライブラリー)

 

 新訳ではよんでないので読まないと、ですね。

わたし、やっぱり好きなひとは好きなひとで繋がってるなあと。

ここ読んでるひとは耳タコでしょうが、フォションは好きなんです、澁澤龍彦の元ネタであるところのユルギス・バルトルシャイティスの岳父、そしてアンドレ・シャステルの先生だったそうで。

きのうのブログでヴァールブルクの本をちらとのせたけど、ヴァールブルクというひとのシゴトと言語とイメージを使い尽くす小説家の「シゴト」のことをずっと考えてる。

で、昨日はったのがこれ。

蛇儀礼―北アメリカ、プエブロ・インディアン居住地域からのイメージ(ヴァールブルク著作集7)

蛇儀礼―北アメリカ、プエブロ・インディアン居住地域からのイメージ(ヴァールブルク著作集7)

 

 メモなので、このへんもはっておきます。

ヴァールブルク著作集 別巻 1 ムネモシュネ・アトラス

ヴァールブルク著作集 別巻 1 ムネモシュネ・アトラス

 

 

怪物から天球へ: 講演・書簡・エッセイ (ヴァールブルク著作集)

怪物から天球へ: 講演・書簡・エッセイ (ヴァールブルク著作集)

 

 それから、これ。

『第四の館』を既読のひとには、「怪物」、「再生」、「蜘蛛の巣」といった言葉に響くものがあるのでは、と。

ヴァールブルクをマルチ・メディア・アーティストか何かの先駆けと見なすことが極端であるのと同様に、ヴァールブルクの文字テクストのみを自閉 的に解釈する文学研究的なアプローチにも限界を感じる。ヴァールブルクが格闘した「イメージ」という怪物を相手にすることなく、彼のテクストのみを論じる ことなど本来できないはずなのだ。ヴァールブルクにおいて人生と思想や著作が切り離しえないとは、イメージと相対峙した彼の経験こそがその核心であるとい うことを意味する。ヴァールブルクがイタリア・ルネサンス人たちにおける「古代の残存」という経験の歴史心理学を試みたように、ヴァールブルク自身の経験 を──一方的な感情移入や転移に終わることなく──イメージをめぐる思考の「生」として「再生」させることが求められる。その意味で、ヴァールブルクが今 有している魅力は、「経験」がふたたび重視されるようになった人文学の動向にも深く根ざしているように思われる。思えば、一昨年の「ムネモシュネ・アトラ ス」の写真パネル再現展示も、そんな経験を求めての実験だった。
「ヴァールブルクは彼の図書館の中心に蜘蛛のように座っていた」 ──そう言ったのは誰だったか。その蜘蛛の巣は同時に、異なる文化的伝統が接ぎ木された樹木の枯れた木っ端からなるハイブリッドな「歴史の地震計」だっ た。獲物の捕獲を知らせる網目の震動、あるいは、記憶の大地の揺れを捕捉する木片の軋み──ヴァールブルクの作り上げた図書館の空間と彼の身体、そして、 ムネモシュネ・アトラスという実験器具とが一体化した総体を、そんな無数の徴候を受信するための装置としてとらえることを試みたい。そのような試みもまた 単なる「ヴァールブルク研究」として自足すべきでないのだとすれば、いずれ自分自身で、彼が作り上げたものに通じる巨大な装置を築かなければならないのか もしれぬ。「なぜ今」という状況論を超えて、「来るべきものは何か」という問いこそを、「ヴァールブルク」という名のもとに考えてみたい。

 

 それと、これ、ね。

子供たちの午後 (Seishinsha SF Series)

子供たちの午後 (Seishinsha SF Series)

 

 ラファティがローマ時代についての本を書いていることを考えると(ルネサンスとは古代の復興です)、そしてまた『子供たちの午後』という、ルネサンスがこの地球にもたらされた所以をあのように語ったことをおもうと、なんかイロイロ感じちゃうなああって。ていうか!

ヴァールブルクを読んでいるラファティ、というのを想像するのも楽しいなあと。

あ、それからわたしはジョイスをまともに読んでないのでなんですが、

ラファティの名前、天使ラファエルとともに、聖アロイシウスの名前があるのもメモっときます。

お母さんが先生でしたっけ?

聖アロイシウスは学生や伝染病患者の聖人でもあるのね。

「アロイシウス・ゴンザーガAloysius Gonzaga, 1568年3月9日-1591年6月21日)はイタリア出身のイエズス会員、カトリック教会聖人。イタリアの名門貴族ゴンザーガ家の出身として有名。記念日は6月21日。アロイジオ・ゴンザーガ(Aloysio Gonzaga)あるいはルイージ・ゴンザーガ(Luigi Gonzaga)とも呼ばれる。」

1729年、アロイシウスは学生の守護聖人とされ、1926年には教皇ピウス11世によりカトリック青年の保護者とされた。また伝染病に倒れたため、伝染病罹患者の守護聖人でもあり、最近ではHIV患者の守護聖人であるとも見なされている。

アロイシウスの記念日は彼の命日にあたる6月21日である。学生および青年の守護聖人であることから、世界各地で多くのカトリック学校や教育施設がアロイシウスの名を冠している。」

アロイシウス・ゴンザーガ - Wikipedia

 

それと、調べてはじめて知りましたが、

アロイス・アルツハイマー - Wikipedia

なのね!

そしてそして、

文学史上もっとも有名なアロイシウスはこのひとですよ!!!

 

ジェイムズ・ジョイスに関するflorentineのはてなブックマーク

 

This article is about the 20th-century writer. For other people with the same name, see James Joyce (disambiguation).
Half-length portrait of man in his thirties. He looks to his right so that his face is in profile. He has a mustache, a thin beard, and medium-length hair slicked back, and wears a pince-nez and a plain dark greatcoat, looking vaguely like a Russian revolutionary.
 
James Joyce signature.svg
Joyce in Zurich, c. 1918

James Augustine[1] Aloysius Joyce (2 February 1882 – 13 January 1941) was an Irish novelist and poet, considered to be one of the most influential writers in the modernist avant-garde of the early 20th century.

James Joyce - Wikipedia, the free encyclopedia

 

アウグスティヌスもはいってるんだねw

それと、

ラファティの地元で通ってもいたタルサ大学て、ジョイス研究が盛んなところみたいで、こんなのがある。

The James Joyce Quarterly was established in 1963 at the University of Tulsa by Thomas F. Staley, who was the journal's editor-in-chief for its first twenty-five years. From 1989 to 2001 Robert Spoo edited the journal and in 2001 Sean Latham succeeded Spoo.

 

James Joyce Quarterly - Wikipedia, the free encyclopedia

Project MUSE - James Joyce Quarterly

 1963年からだと、こういうのをラファティが読んでる可能性あるんじゃないかと。

悪魔は死んだ (サンリオSF文庫)

悪魔は死んだ (サンリオSF文庫)

 

 これとか、ジョイスの小説意識して書かれてますよね???(だって、フィネガンなんて名前をわざわざつけないよねえって、しかも航海までさせてさあ、オマージュなんだろうけどちゃんと翻訳ですら最後まで読み通してないので何も言えないです)

わたし、ほとんどジョイス読んでないので自信ないけど、でも、ラファティはジョイスみたいな言葉遊びというか、ああいうのを自分でもすごくやってるんじゃないかなあっておもったりするので今年の「ラファティ・ナイト」(あるんですよね? お誕生日に!)では、訳者様方に突進したいとかおもったりしてます、はい。

あ、それと、

ラファティを読むためにも、

 

トマス・アクィナス - Wikipedia

 

がんばって今年中に少しは手掛かりをつけたいです。

よって、さきほどあげたジルソン、はっておくーーーーーん。

 それと、

あ、これは、うまく言語化ができないというか、わたしがまったくもって中世思想史関連の書物を読めてないのでアレで、でも。

ラファティというひとは、中世の「塊り感」その「ぶ厚み」というのをよくよくわかってるひとなんじゃないかなっていう感じがして、ね。

だからこそ、『子供たちの午後』のルネサンスの「弾けっぷり」を体感するようにして描いてるような。ダンテの『神曲』の在り様、みたいなの。

時間とか歴史感覚のはなしなんだけど、うん。

まあ、いいや、うまく言えない。

ただ、ラファティは物凄い作家だとおもってる、てことだけ伝わればいいのさ。