※『Q.V.Q.−キャトルヴァンキャトル−』完結記念ってことで、むかし書いた感想文をアップ☆ 『宇宙舟歌』のネタばれ満載なので気になる方は回れ右! では、イっちゃいますわよ(笑)。
それにしたって、レイフェルおじさんはヤッテくれる。
これ、
- 作者: R.A.ラファティ,R.A. Lafferty,柳下毅一郎
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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なにこの、〈どーん!〉ボタンって!
間違った叉(ロング・ブロング)、ぼーん!どーん!
も〜〜〜〜う、これ、これってさあ、子供のころのお遊びネタそのまんまじゃないの!
え? 楽しいだろ、欲しかっただろって?
ええ、そうよ。欲しかったわよ。でもさ、レイフェルおじさん、これはヤリスギよ。わたし、おなか抱えて笑っちゃったじゃないの。咳してるんだから、あんまり笑わせないでよね!
『銀河ヒッチハイクガイド』にも、似たようなモノついてた気がするけど、どうもおじさんのほうが破壊力があるのよ。あっちも面白いけど、脚本家のせいかコントっぽいし計算はいってるものね。
え? 計算はしてるって?
ええ、そうね。今回はオデュッセイアっていう、下敷きがあるものね。その他、神話とか民話とか入ってるし、いつものおじさんの長編よりかはずううううっとわかりやすいお話よね。な〜によ、ダンテの引用なんか使ったりしてさ。自分の好きなタイプのお話たくさんつめこんじゃったんでしょ?
え? きみはなんの下敷きもなく無から小説が書けるかって?
まあ、おじさんたら、小説家志望のわたしを苛める気? 無から書けるひとなんて、いるわけないでしょ?
え? 言うようになったなあって、いつまで子ども扱いするのよ。
も〜う、おじさんなんて大嫌い!
ごめんって言いながら、おじさんてばわたしを見て笑うのよね〜。
はいはい、もういいですよ。どうせわたしはおじさんみたいにちゃんと作家になってないし〜。
え? おじさんが小説家になったのはもっと遅いって?
知ってるもん。だからわたし、ほんとはとっても尊敬してるの。ねえ、小さいころから書いてた?
突然書き始めたっていうけど、ほんと?
ほんとは違うでしょ?
書いてないけど、語って、いいえ騙ってたのよね?
え? それは秘密だ?
まあ、いいけどね。おじさんが素直に応えると思ってないし。
それにしてもおじさん、語学好きよね。趣味なんだよね。う〜ん、わたしもがんばらないと駄目かな。
え? ガンバレって? ことばは大切だものなって?
たまにはマトモな応援やアドバイスもしてくれるんだ。へえ、ありがとう。
だけどさ、おじさんの作品てやたら駄ジャレが多いよね。うん。わたしも実は好きなんだけど。おじさん、けっこう耳がいいんだよね。韻文たくさん読んだ? あ、そう。読んだのね。うん、わかった。わたしもちゃんと勉強する。
それにしてもさあ、おじさん、このお話のラストシーン、「素晴らしい世界の首都ビッグ・タルサに」ってちょっといかにもじゃない? ねえねえ、これ書くとき恥ずかしくなかった? そりゃあ小説家たるもの羞恥心なんてとうに宇宙の果てに捨ててきたかもしれないけどね。
え? なにが恥ずかしくあるもんか。故郷をないがしろにしてどうする?
ん〜、わたしもないがしろにする気はないけどさあ。故郷がどうのって言うんじゃなくって、だってこの、ロードストラム船長って「宇宙の英雄」、これ、おじさんのことでしょ? というか、そう読んでくれって読者にお願いしてるんだよね?
え? お願いはしてない?
またまたあ。
でもさあ、おじさんてば本が大好きなくせに「英雄」になりたいのよね。
おじさん知ってる? 本の中身に出てくるひとはね、ほんとは本なんて読まないのよ? ねえ。知ってるでしょ? あのひとたちはね、自分の「冒険」に一生懸命なのよ。
え? そんなのとうに知ってるって?
そうよね。ごめん、おじさん。わたし、実はちゃんと知ってるの。
結末があったなら、その叙事詩はすでに失敗だ。最初のときにどう終わろうと知ったことか−−今度の終わり方は違うぞ! 俺は逃げるぞ! 俺の最後は誰にも歌わせやしない!
コレ、よね?
おじさんさあ、これを言いたかったんでしょ?
あわれな英雄たちを、あの、壮大な叙事詩の世界に連れ戻してあげたかったのよね? 卑小な人間に貶めたくなかったんだよね?
ねえおじさん、おじさんはそうやって生きたの?
旅の終わりにたどりつくのは死ぬってことだ。俺たちはまだ行くぞ!
おじさん、レイフェルおじさん、わたしも天女のマーガレットになってついていきたいんだけど。それはダメ? 駄目か。そうだよねえ。うん、うん。うん。わかってるよ。うん。
ねえ、ちょっと声が聞こえづらくなってきたんだけど。
ねえ!
わたしの声、聞こえてる!?
レイフェルおじさん!!
間違わないように、これはただ見せかけだけの
おわり
ええええええ???
続き、あるんでしょ〜〜〜〜〜!? あとがきにちゃんと書いてあったんだから!
おじさんってばあ!
も〜〜〜〜〜う、ほんっとうにヤッテくれてるわ。
〈どーん!〉ボタン、こういうときに使うってわかってないのよねえ?
ね、おじさん?