私はディドンを愛していた。私にはそれ以上に愛した人はいただろうか。それ以上愛することがあるだろうか。この雌猫には幾人かの死んだ人を彷彿とさせるところがあった。
キニャールは猫が好きな作家。これは、案外に多いような気がする。
犬の好きな作家もいる。私見では、ジーン・ウルフ、キシュ、ピンチョンは犬好きだと思う。
書けないことの苦痛はこの世のほとんど、ありとあらゆることを忌まわしく思わせるほど苛立たしい。
だから、今日は三冊ほど本を読んだ。
読んでいれば、ともかくもわたしは「幸福」を取り戻せるのである。
「犬」が、傍らにいなくとも。