はつ夢――夢日記19
(また例によって内容と写真は関係ありませんよw)(大伯母の丸帯仕立て直したやつ)
実は、なんの夢も見なかったのだ。
依頼人の男はそう言った。
では御代をお返しいたしますという言葉がするりと喉から飛び出した。わたしには夢使いとしての矜持など何もなかった。面倒事を避けたかった。
それですますつもりかと問い詰められた。
わたしはたしかに香音(かね)をとらえておろしました。しかしあなたはそれをご覧にならなかったという。わたしの伎(わざ)が覚束なかったとしか申し上げようがございません。
男はわたしの顔をじっと見た。
おれには香音など聞こえない。見えもしない。
あなたは夢使いではありませんから、その身に香音がおりて夢になるまではわかりますまい。
代金を返すというわりに物言いはあいかわらず傲慢だな。
御無礼の段、平にご容赦を。
わたしは頭を低くした。男はため息をついて背を向ける。そのまま、金はいい、また次の新月だと言う。わたしでよろしいのですかと問うと、他に夢使いの知り合いがいないとこたえた。ご紹介いたしますがと口にしてみるが、面倒臭いと苦笑した。
月に一度、新月の夜にわたしを呼ぶ男の鬱屈をわたしは疎んじている。男自身を嫌っているわけではない。
夢使いになりそこなった男の嫉妬と執着に疲れ果ててはいるものの、わたしは金払いのいい依頼人は嫌いではない。
この特異な力のもたらすものはそんな程度のものだ。男の生まれ育ち今の仕事に比べたら取るに足らぬ些細なことでしかない。
とはいえわたしはそれを決して教えてやらない。
ではまた新月の夜に。
わたしはにこやかに微笑んで頭をさげた。
男はわたしを見ていない。
見えない月を、眺めていた。
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ちょっと小説っぽく仕上げてみた。
なんか、夢使いになった夢だった。もっと同じ言葉をくりかえすやりとりがあって、でもけっきょくまた来いって言われて帰ってくる夢だった。
ちぇーめんどくせーみたいなことを呟いてたのはわたしのほうでしたw
(ちなみにわたしは男だったな、三十くらいの小男だった)
どーでもいいですが、足が痛いです。