がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

百足と男――夢日記6

 仰向けにベッドで寝ているとすぐ横の壁を這うものがいた。百足だ。慌てて身を起こしてベッドを降りたがどうしていいかわからない。わたしはアレルギー持ちなので噛まれたりするわけにはいかないし逃がしてやるだけの技量が自分には備わっていない。殺虫剤で「倒せる」ものだろうかと首を捻った背中に聞き覚えのない声がかかる。

「追い払えばいいのか?」

 誰だ。

 自室で知らない男の声を聞くことくらい恐ろしいことはないはずが、のんびりとした声音に助け舟がきたと気を許す。

「そうしてもらえたらありがたいんですが……」

 振り返ると、やはり男がいた。いつの間にかベッドへ乗り、こちらに背を向けている。いや、壁にはりついた百足を見ているのだろう。年のころ三十半ばくらいか。身長はおそらく百七十八センチ、白いTシャツにジーンズ、髪はいくらか長めか。見るからにアヤシイ風体というわけじゃない。腰の位置は低いが筋肉質で骨が太くありていにいって頑丈そうだった。しかし、それはともかくほんとうにまったく知らない男だ。

 男の後ろ姿を検分しているあいだに百足は天井へと這いあがってしまっていた。こうなるともう、わたしでは文字通りお手上げだ。男がこちらを振り返らずに言った。

「新聞紙」

「ちょっと待っててくださいね」

 引き戸に手をかけてまとめてあった新聞紙をとってこようとして気がついた。あれ、これ、夢だよね?

 

 

いちおう念の為に書いておくと、位置関係がビミョーにおかしいのだが「夢」なのでどうしてもこうなる。たぶん、顔が見たくなかったんだろうな。

夢占いを見たら百足は金運上昇だそうなのだがホントか!?

いきなり「声」がするってのは、とうらぶのせいかもしれませんwww(でも美声というのでもなかったし、顔見てないけどとくだん美形なふうでもなかった(いや、後ろ姿でもこのひと美形ってワカル瞬間あるじゃん?)。