「わたしの好きな辻邦生作品」への助走(エッセイ編)
初めての男ならぬ「初めての作家」はわたしにとって三島由紀夫というひとになるのだろうが、十代二十代のじぶんが「好きな作家」として敢えて名をあげるひとを選ぶ、としたら辻邦生さんだった。
中高生から大学生くらいまでのわたしは、「作家」というと何故か、文豪の名はあげてはいけないような気がした。だから谷崎とか鷗外とかの名前はあげられなかったのだ、好きではあったけど。
なんていうか、せいぜいこないだくらいまで生きていた、ていう感じがしないといけない、みたいな???(小説家ならどの時代でもイイんだけど、作家てなんか、生きてるひとっぽい何かが必要な気がしたのよ、わたし)
あと、外国の作家もなんかチガウというか、だいたい言っても通じなかったりしたし、ていうわけで、十代二十代と「好きな作家は誰ですか?」と聞かれたら辻邦生さんですとこたえていた(つじの字、おゆるしを)。フランスに馴染みのある方だし、「小説」と「物語」について考え尽くした作家。
てことで、
本来なら、「わたしの好きな辻邦生作品」をやりたかったのですが、ちょっと今日はそこまで体力がないので、メモ的に。
書くひとにおすすめなのは、これ。
「小説」や「物語」を書きたいひと向けの本を並べてみたよ☆ - がらくた銀河
これは、ここであげたのでくりかえさない。
それから、
辻さんの小説の生命のシンボルがどういうものなのか、よくわかる。生きることが歓びである、ていう感覚をもつひとならきっと、それが日常のツラさに押し潰されそうなときに読むと復活するかも。
ことに、『美しい夏の行方』の多幸感は素晴らしい、完璧だ。
イタリアの夏を知るひとならその素晴らしい刻(とき)を身の内に呼び寄せることが可能だろうと思われる。スタンダールやゲーテや澁澤のイタリア本も素晴らしいのですが、辻さんのこの本はなんていうか「大学のゼミの先生が夏にイタリアいってきたはなし」をしてくれてるような、距離感のちかさが凄くイイ!
くりかえすけど、この二冊は、ウツ状態のときに読むととりあえず生きてることを素直に肯定できるような気持ちがするので手許においてある。
てところで言葉に反して力尽きたのでw(おなかすいてきた)
またいつか。
あと、これは個人メモ。
辻さん版「百物語」みたいなもので、縦横に物語を編んだタピスリー。たぶんいわゆる超絶技巧なんだろうけど、辻さんはそう思わせないんだよねえ、ごく自然に語ってる。
キンドルがあるのか。。。うーん、実は探し回ってるのだ、これ。
それこそどういうふうに作られているか知りたくて。
全集で半分くらい読んだんだけど、ていう体たらくなので。
このへんもメモる。
CiNii 論文 - スペイン市民戦争の良き後遺症--辻邦生の百の短編『ある生涯の七つの場所』から
あとこれは既読のひと向きです。ご注意を。