ジョットとアッシジ、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂、ホーン美術館、そしてハレー彗星探査機のことなど
ジョットから、語りはじめるのがそれっぽいとおもうの。
てなわけで、
この数日「史上最高のSF作家ラファティ」のはなしをしてたら、あー、わたし、ルネサンスのはなしをしたくてたまらないんだなあって。もちろんわたしはそれを小説で書くつもりでいるのですが、助走的な感じでちょっとずつ、はじめるかなあと。メモ的に少しずつ。
(鈴木創士さんの素晴らしいエッセイ。残念ながらリンクの記事はもう読めないのでこちらをはっておきます)
- 作者: アーウィンパノフスキー,Erwin Panofsky,中森義宗,清水忠
- 出版社/メーカー: 新思索社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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わたくしめのゼミ必修本でした。はい。このタイトルの日本語訳が最高と思います。
とまれ、
「例 えば、多くの天使たちは向こう側の空間からこちら側にエピファニーのように出現するものでなければならなかったし、礼拝堂の内壁に描かれたジョットの「パ ドヴァの青」は、たぶん夢のなかでしか見たこともないとも言える「本物の」空を予想させるものでなければならなかった。」
わたし、パドヴァのこの 礼拝堂には二回、いってるんですが。でもでも、たった15分くらい(?)しかあの礼拝堂のなかにはいられなくて、初回はまだしも(これはまあ仕方がな い)、二度目にも、わーーーーーって、気持ちというよりアタマというか肋骨から上が泡立つ(鳥肌が立つとかそういうんじゃなくて、炭酸になる)みたいで 「絵」が見られなくて。
いちおう予習もしてるし、好きな場面があるからそういうのはほんとは落ち着いてじっくり細部まで見たいんだけど、あんまりにもキラキラしてて、なにかにとりまかれるみたいな感じで「アガっちゃ」ってて。
思 い出すたびにすごくすごく後悔して、そういうじぶんを残念がったりしたんだけど。あるときふと、わたしはあれを長時間、好きなだけ見ることが許されたスク ロヴェーニ家の人間じゃないし、あれはいわゆる美術「鑑賞」のために描かれたわけじゃないんだよな、と五月の晴れた「空」を見上げたら自然にそう思えて。
なんか、すごくほっとしたことがあったなあと。
ルネサンス芸術を好きなひとにとっては至極当然のことですが。
ジョットはやはり凄いです。ダンテも、凄い。うん。
と、みんな知ってるよそんなのってことを何度でも言う。
ルネサンスとは何であるのか、ていうはなしをするのはわたしのような人間にはとても荷が重いので(おもいよ!)、でも。
じゃあ、どっから入ったら面白いのかな? ていうあたりだと、ゴシップネタから入るのもイイんじゃないかなあ的な。
コレです、ジョットからダンテからちゃんとしっかりキャラ立ったまま出てきますし!
十四世紀フィレンツェの一商人サケッティの名を人々が記憶しているのは,市井の日常茶飯から直接見聞して書いた『短篇小説三百篇』による.警句・冗談・な まぐさ坊主譚・世間話が,或は豚や馬が走り出して市民や役人を騒動にまきこんでゆくさまが,軽妙な語り口で描かれる.現存する二三二篇中から秀逸な七四篇 を選び収める.
ルネサンス期は商人たちがたくさん日記を残してて、ていうはなしはまたいつかやりますね。
今日の主役ジョットといえば、アッシジの聖フランチェスコの壁画をかいたことで有名です。小鳥に説教するフランチェスコの絵、やっぱり人気ありました。みんな顔あげてじっとみてた。わたしもですが。
それに、小鳥に説教ってなんかもう、素敵すぎますよね。すごく可愛い。
このフランチェスコというひとがどういうひとかは、このへんを読んでいただくか、
歴史の大家にご登場願うことにいたします(すみません、わたしこれ途中にしちゃってるので読まないと、ですね)。
あとは、これです。
イイ感じに宗教的なところがぼやかされてるのでアッシジのお金持ちの家に生まれた青年の成長物語という感じで見やすいかもです。そしてなによりゼフィレッリというひとの美青年好みがわたし的にはどんぴしゃりで!!(ここ大事)
あ、それからリスト。
フランツ・リスト:小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ S.175の1 《伝説》から
- アーティスト: ピエール=ロラン・エマール
- 出版社/メーカー: Universal Music LLC
- 発売日: 2011/10/12
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これで聴いたことないけどそれそのもののタイトルなので。ていう体たらくですみません。
(シフラのリストはわりと聴いたはず)
(ウラディミール・ド・パッハマンとかが好きです)
それと、これもおすすめです。塩野さんらしいなって。フランチェスコっていう名前、フランス人ていう意味のイタリア語ですからね。
ホメロスが謳うオデュッセウスの漂流譚はでっちあげだ! と糾弾する妻ペネロペ。不器用で世渡りが下手な夫を嘆く ダンテの妻。サロメの乳母、キリストの弟、聖フランチェスコの母、ブルータスの師、カリグラ帝の馬……歴史上の有名人の身近にいた無名の人々が、通説とは まったく違った視点から語る英雄・偉人たちの裏側。「ローマ人の物語」の作者が想像力豊かに描く短編小説集。
このフランチェスコのとダンテの妻とやはり表題作がイイ! 歴史好きなひとは楽しく読めるとおもいます。
そして、その聖フランチェスコをまつった大聖堂がアッシジにあります。
世界遺産ですのでいかれた方も多いのでは?
アッシジ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群 - Wikipedia
アッシジという街の美しさをなんと讃えたらいいのかわからないのですが、あの大聖堂の鐘の音を聴いたときは黄金 の切片がキラキラと蝶のように舞いながら緑なす丘へ散っていくみたいでしたからね、なんか陶然とするってよく言うじゃないですか、アレってこういう感じか なあって、鐘の音が鳴り響くあいだホントに目の前がきらきらしたのでびっくりです*2
それから、
もしアッシジに行かれましたら、この聖女に捧げられた聖堂にも是非!
Clare of Assisi - Wikipedia, the free encyclopedia
La Basilica | Basilica di santa Chiara - Assisi
Basilica di Santa Chiara - Wikipedia
サンタ・キアラ聖堂は、薔薇色のそれです。ほんとに綺麗。ファサード(正面)はもちろん、やわらかく上品な、咲き初める薔薇のように初々しく清楚なピンク色の大理石でつくられています。
たぶん、聖女がまつられているって知らなくても、聖女がいるってワカルんじゃないかなあっていうくらい優しくて綺麗、聖堂の御姿それ自体が。
大聖堂にあるシモーネ・マルティーニの描いた聖キアラの流し目の美女像も麗しく、お見逃しのないように!
それと、もしも健脚でしたらスパシオ山にのぼってみてください。ロ ッカ・マジョーレと呼ばれる要塞から見おろすウンブリア地方の温順な丘陵地帯の美しさ! ほんと絶景です。
カトリックの町アッシジが広がる絶景ポイント、ロッカマッジョーレ|オルヴィエート(イタリア)の海外現地ガイド記事|海外旅行情報 エイビーロード
あ、あと、
向こう側に大学の町ペルージャがありまして、えっとね、こりゃ喧嘩するわなああっておもいました(笑)。対抗意識燃えるもん、あれ!
ペルージャも美しいところです、またいつか。
では、
再びジョットへと参りましょう。
ジョットという画家の作品はもちろん宗教画で、持ち運びのできるサイズのものもないではないんですが、ジョット好きなひとが見たくてたまらないとなったら冒頭であげたこの礼拝堂の壁画じゃないかと。
スクロヴェーニ礼拝堂(スクロヴェーニれいはいどう、(伊: Cappella degli Scrovegni))は、イタリアのパドヴァにある礼拝堂。エンリコ・デッリ・スクロヴェーニが購入し、礼拝堂を建てた場所が古代ローマの競技場(アレーナ)であるアンフィテアトルム跡に隣接していることから「アレーナ礼拝堂」とも呼ばれる。1305年に完成したジョット・ディ・ボンドーネが描いた、西洋美術史上もっとも重要な作品である一連のフレスコ絵画で知られる。
これ、公式サイト。
Cappella degli Scrovegni - Home
La Cappella di Padova - Giotto agli Scrovegni
ともかくこんな記事なんてうっちゃって、のぞきにいってみてください。
青と金の壮麗、そしてそのナラティブ(語り)の絶妙さ、悲しみや当惑や何かを見越した瞳をみせる様々な人物表現の素晴らしさ。
ジョットがどんなにすごいかは、ヴァザーリ先生の書物でももちろん語られてます。
芸術家列伝1 ─ ジョット、マザッチョほか (白水Uブックス1122)
- 作者: ジョルジョヴァザーリ,平川祐弘,小谷年司
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2011/05/28
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東京書籍から出てるこの黒い本は、手許で絵を見たいときにちょうどいい感じで好きです。
ジョット (イタリア・ルネサンスの巨匠たち フィレンツェ絵画の先駆者)
- 作者: ルチアーノベッローシ,野村幸弘
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 1994/05/30
- メディア: 大型本
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あ、あとこれ。
このシリーズ大好きだった。
音楽も凄くよくて、あれ、売ってないのかなああ?
あと、専門書も。
これは未読ですが、中央公論美術出版社さんのこういうご本というのはね、もうね、憧れなんですよ。
それからフィレンツェだけど、
ジョット好きなひとはは見にいったらいいとおもうし、時間に余裕あればおすすめの小さな美術館。ホーン美術館。
Il Museo Horne, una casa fiorentina del rinascimento - sito ufficiale
これ、公式ね。
ほんとイタリア語なんてちっともわからないけど、美術のイイところは画像さえ見られたらもう、いうことないってことよねw
(ここにある所蔵品一覧見たら、わたしが行けたらいったほうがいい、ていうわけワカルとおもう)
Santo Stefano (Giotto) - Wikipedia
ことに、この聖ステファノは絶品ですよ、存在感ハンパない!
Cristo in pietà (Filippo Lippi Firenze) - Wikipedia
あと、リッピ好きなひとにはこれ。
あ、こちらさまに作品画像もおいてあるのでご覧になるといいです。
絵画だけでなく、フォークとかスプーンとかが素晴らしくて、ですね!
わたし小説書きなので、そういうの見せてくれるのが嬉しいです、あ、これがフランスへ渡っていくのねー、ていう。
で、ホーンさんがどういうひとかというと。
Herbert Horne - Wikipedia, the free encyclopedia
英国の美術批評家&建築家&画商というかんじかな。関係者では、バーナード・ベレンソンの名前がよくあがるはず。
Herbert Horne - Dictionary of Art Historians
(ちらと見ただけ。自分メモ用にはっておくw ロジャー・フライとか、ヴァールブルク関連の人々の名前がずらずらと。このへんのひとたちは一塊なんだよねえ)
でもって、ベレンソンていうひとはだね、引用者太字強調でしておくけど!
ロシア帝国・ヴィルナ県ブトリモニス Butrimonys のユダヤ人の家庭に生まれる。生まれた時の名前はベルンハルド・ヴァルヴロイェンスキ(Bernhard Valvrojenski 露Бернард Вальвроженский)。父のアルバートは1875年一家と共にボストンに移住し、ベレンソンに姓を変える。
ハーヴァード大学で学び、イタリアに移住する。妻のメアリー Mary (1864-1945)は Logan Pearsall Smith の姉であり、美術史家の Benjamin Francis Conn Costelloe と結婚したこともあった。
トマス・ハリスの小説『ハンニバル』では、主人公ハンニバル・レクター博士はベレンソン家の親類という設定になっている。
トマス・ハリスというひとは、このへんが非常にわたし好みで!!!
またいつか、これは書くとおもうw
フィレンツェ旅したことのあるひとはこれ、旅行ガイド的な意味でもきっとハマるとおもうよ!
ラストはこのネタでいきましょう!
ジオット (giotto) またはジョットは、欧州宇宙機関 (ESA) によって1985年7月2日に打ち上げられ、ハレー彗星に最接近した探査機。1301年に出現したハレー彗星をパドヴァのスクロヴェンニ礼拝堂の壁画のモチーフに描いたイタリアの画家ジョット・ディ・ボンドーネにちなみ命名された。
ハレー彗星ネタっていうのはもうひとり、マーク・トウェインのほうが有名かもしれませんが、ジョットもなのです。
えーと、ここでお知らせです。
こんなの作ってみました!
よろしくお願いします!
*1:わたしが読んだのは単行本ですけど
*2:こういう体験が『夢のように、おりてくるもの』http://novel18.syosetu.com/n1558bq/ の根っこにあるとおもう