がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

うちの春呼さんは「少女文学者」です。 「文学少女」じゃありません。

くりかえします。

うちの春呼さんは少女文学者です。

文学少女じゃありません。

(うちの春呼さんが冬服ばかり着てるのは何故なのか、誰か教えて!!!w)

 

ということを唐突に思い出したので、
はっておく。

あのね、文学少女だと、御兄様方、御姉様方の「欲望」やら「郷愁」やらにさらされちゃいそうでしょ?
そうじゃないものでありなさい、て、おもったのだよね。

「知」というもののもつ「権力性」、その「強さ」を頼りにしてもいいから、

「文学」が抱えもつもの、描こうとするもの、そうしたものが何であるか、忘れないように。「消費」されるもののそばに身をおいて、否、それそのものであろうとも。

 

ここ数日TLを騒がせる色々なことどもを横目にしながらひさかたぶりに、

これを読みかえした。


 摘まれなかったバラ : 『バラ物語』論争と擁護派の論旨について  [in Japanese]
 月村 辰雄


CiNii 論文 -  摘まれなかったバラ : 『バラ物語』論争と擁護派の論旨について

 

http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/7865/2/ff005002.pdf

若くして寡婦となったクリスチーヌ・ド・ビザンが、亡き夫への愛の思い出のために再婚を嫌い、三人の子を抱えながら筆一本で生活の資をえようと決意した次第は、よく知られている通りである。彼女は王妃イザボー・ド・バヴィエールに近づき、当初は韻文の才を高く寛でられ、求めに応じて器用に小品を綴っていたが、1399年、初めて大がかりな作品r愛神への書簡詩」P)を公にする。この10音綴詩句800行の作品は、恋に心の痛手を負った婦人たちが、恋愛における男性側の身勝手、非道を愛神の前に訴えるという形式をとるが、その中で彼女はオウイディウスのr恋の技法J・r恋の治療j
とジャン・ド・マンとを槍玉にあげた。
ピザンはまずオウィディウスを攻撃する。ピザンによれば、これらの書物は「まことの愛のしきたりと習わしを教えるものではなく、まさに阜の反対で(w.372-3)」あって、「いかに装って女を欺き、そして手中に収めるか(W.3鵬-9)」を説く詐術の書である。いったい、男は一方で女が浅薄でたわいないものだと罵っておきながら、その女を手に入れるために、どうしてこのような策略を敢えて弄するのであろうか。「バラ物語におけるジャン・ド・マンも同様で、なんとくだくだしく骨折りの仕事だろう。彼はそこに明快な、また難解な知識を盛り込み、そして大がかりな恋の冒険を措いた。しかし、結局これが目的なのだが、たかが一人の′ト娘であるのに、策略と欺瞞をもって
寵絡するよう、実に多くの人々が心を誘われ、実に多くの工夫と悪だくみが考え出された。(小娘という)か軌\砦に、この大仰な攻撃がはたして必要なのか(W.389-97)」。
オウイディウスやジャン・ド・マンはどの人が学識の限りを傾けて女性誘惑の方法を説くのは、一般に女性というものがそれだけ志操堅固だからである。■従って、彼らが女の放縦や浮薄を嘲笑するのは、まったくいわれがないと同時に、彼らの論理的矛盾ということにもなる。

 
PDF32枚もあるのだけど、すっごく面白いんで興味のあるひとは読むといいよv

ちなみに、わたしはオヴィディウスもジャン・ド・マンも大好きさ☆

 

恋愛指南―アルス・アマトリア (岩波文庫)

恋愛指南―アルス・アマトリア (岩波文庫)

 

 オヴィディウス最高っすよ!!!

(いや、マジで。変身物語も凄くイイけど、これ、わたし凄く好きなんだけどなあ、ていうかみんなコレ読んで口説いてくれてよくってよ、よくってよ???)

薔薇物語

薔薇物語

 

 未知谷で読んだのだったとおもうので。

薔薇物語は美少女攻略ゲーム本なので、アニメ化されたらいいとおもうよ!!!

(マジで。これぞ擬人化! だしなw)

ちなみに、

うえの論文のオチは、これ、だ!!!

 

ともあれ、異端の脅しのもとでの沈黙と作品解釈の欠如という二重の不徹底のうち
に、フランス語による最初の文学論争はおわったのである。

 

これ、だよ、

これ、これだってば!!!

(ちっとも、わらえなーーーーーーーーーいっ><)

(はじめてこれ読んだときより、いまは寒々しいねえ、いや、ほんと、おっかない)

 

 月村氏といえば、このへんで馴染みのある方もおいでかと。

十二の恋の物語―マリー・ド・フランスのレー (岩波文庫)

十二の恋の物語―マリー・ド・フランスのレー (岩波文庫)

 

 ちなみに、これもすごく面白くてよかった。

恋の文学誌―フランス文学の原風景をもとめて

恋の文学誌―フランス文学の原風景をもとめて

 

 まあ、そんなこんなで、 

いちお、むかしの記事もはっておく。
講演会「「クリスティーヌ・ド・ピザン──最初の女性知識人」聴きにいってきました! - がらくた銀河

 

クリスティーヌというひとが好きなのはたぶん、外国人、だていうのもあるのかもしれない。イタリア人です。

あと、このひともすっごく野心家だよね、ていうか野心がなくちゃヤレないよね、

ていうこととか、ね。

あ、

でも、なんていうか、女性君主、主君がえらいおんなのひと、ていうのは大きなポイントなんだろうなあ。

とはいえ、

 

ひとさまの苦痛も鬱屈も不満も何もかもわたしのものじゃない、

ていうことはいつも、忘れない。

わたしはわたしのそれでていっぱいだし、

それを手立てにものを書く。

 

(関係ないけど、去年12月はオヴィディウス月刊だったんだよ、ひそかに。いや、よかったです、はい。このひととは気が合うと勝手におもってるw)