がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

「第4回アルファポリスファンタジー大賞に『歓びの野は死の色す』という作品で今年も参加しています!

第4回アルファポリスファンタジー小説大賞

http://www.alphapolis.co.jp/citi_cont_prize_kaisai.php

み・な・さ〜ん!
いかがおすごしですか?
昨日、重陽の節句でしたね(しってる?)。お酒に菊の花、うかべるの忘れましたー(笑)。このへんで、雨月物語の菊花の約、とか言い出したいのをぐっとこらえ、宣伝です!

『歓びの野は死の色す』(R18)目次

http://karakusaginga.blog76.fc2.com/blog-category-41.html

「10年ぶりに祖国へ帰ったエリス姫。彼女は初恋の人である伯爵と再会するが、彼には結婚話が持ち上がっていて……死の女神を祀る公国の、《夜》を巡る物語」 


去年も宣伝文かいたので、今年はどうしたもんかと考えてるんですが、んーむ。
あ、いちお、去年のはこちらです。
http://d.hatena.ne.jp/florentine/20100903/1283519166
 
じつは連載ずっととまっちゃってるので、ねえ。
ただ、こういうのはヤル気の問題なとこもあって、読者様からのおたより、なんてものが届くときゅうにそういう気持ちになることもあるかなあっていう、おねだりをして、終えておきます。
てことで、アンリエットさんのご登場、です。
(いやー、キャラに代弁させるっていいよね〜、うふふ)
 

 わたくしの名はアンリエット。
 名前だけ記してみても、その綴りで女性であると知れるでしょう。
 エリゼ公国の言語はモーリア王国とそれと同じで、この大陸で多くのひとびとが使うことばでもあります。さらに正確にいえば、このことばは北方の王国であろうとも、また東の国の植民地であろうとも、王権や貴族制が残る土地ではいまだ生き生きとしたひかりをもたらすものと思われています。
 帝国の衰微と崩壊にともない興隆したモーリア王国は、その言語をもこの二百年の間に堅牢にし、文法家や詩人、小説家たちによって磨きあげたのです。そのことばは美しく、なによりも明晰であるといわれています。
 でも、このことばを使いつづけることにわたくしは躊躇いがある。
 男女の性の揺らぎを受け入れながら、ことばだけそのまま二項対立におさまっているのはおかしい。そういう議論も今後かわされてしかるべきと思うのです。
 実をいえば、わたくしはエリゼ公爵様の副官にして詩人であり小説家でもあります。ただし筆名ではアンリと、三百年前の知将アンリから頂戴しました。その名は、わが伯爵家でも、もっとも栄誉ある名前のひとつでもあるのです。
 わたくしの詩は公爵様の教師であった帝都学士院の桂冠詩人の目にとまり、まずはエリゼ公国貴族の幼い少年の書いたものとして賞賛を浴び、つづいてそれは性別を偽ってものを書く女への批判として読まれ、いまではエリゼ公国の政治的旗印として認識されています。
 いったん自分の手をはなれた作品をとやかくいうのは作者としてしてはならぬ行為ではあると断ったうえで、あえて、どう読まれようとかまわないと開き直れなかった自分がいるとだけ告白します。
 もしも男であれば傷つかなかったかもしれないと思う痛みが、わたくしを変えました。《夜》の研究に自身を追い込んだのは、ひとえにそうした理由からです。弱く、もろく、支えのないわたくし自身の立場を、いまだ何の裏づけもなく、さりとてそこに確かに在るという、謎めいて美しい《夜》へと埋没させていくのは快いことでもあったのです。

『歓びの野は死の色す』細かな文様 40 より抜粋
http://karakusaginga.blog76.fc2.com/blog-entry-435.html


なんとなく。
ジョルジュ・サンドからティプトリーに至る「女性」作家たることの憂慮や苦悩、みたいなものを思いながら書いた気が(気がってあなたw でも、あんまりそういう自身の何かをこの小説には入れ込んでいないというか、ふつうに西欧(伊仏)史パロで、いちおうわたしの当時の《希望》だと「日仏友好150年記念小説」だったように思う。更新とまってるのは、わたしがもうちょっとライシテとコンフレリー(友愛団体)と開国期について勉強したくて中断してるだけで、これは、書けなくて苦しくて放置ぷれいなわけじゃないのだが、しかし、いや、まあ、いいや)。
ついでにタイトルは、誰が見てもわかるように与謝野晶子の歌から頂戴しています。
「ああ皐月仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟我も雛罌粟」
 
http://h.hatena.ne.jp/florentine/243583746094725641

どうぞよろしくお願いいたします!