左右の窓から日がさしこんで渡り廊下をやわらかに、広々と見せている。わたしはそこがデパートであったと思い出す。新館と旧館を繋ぐ通路は地下と六階、そしてこの最上階にあったのだと。いや、だとしたら階段に扉があるのはおかしいはずだと考えて足をとめ…
古いビルの階段をひとりでのぼっていた。窓はなく、薄暗い。電灯が半分しかついていないところをみると、おそらくは震災以降のことなのだろう。行きあうひともなく、不安におもう。わたしは最上階に用があるはずなのだ。けれどそれが何であったのか思い出せ…
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