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がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

すすむ――夢日記2

左右の窓から日がさしこんで渡り廊下をやわらかに、広々と見せている。わたしはそこがデパートであったと思い出す。新館と旧館を繋ぐ通路は地下と六階、そしてこの最上階にあったのだと。いや、だとしたら階段に扉があるのはおかしいはずだと考えて足をとめた。いまいちど改めて窓の外を見る。見おろせばあるはずの駅と線路はない。ただ、街はあった。おかしな場所ではない。

振り返っても頭を前に戻しても誰一人歩いていない。だが窓の下には行きかうひとがいる。手をつなぐ親子、スーツを着た男性、ちらしを配るひと――何ひとつ不思議なものはない。

足裏にリノリウムの床をかんじる。クリーム色と明るいレモン色、そしてやや落ち着いたオレンジ色が配されている。壁は白い。わたしの靴は紺色だ。こどもの拙い絵のようだとおもった。窓に手を伸ばす。清潔な透明に指のはらをあてる。大きな窓はひらかない。安全上の配慮とやらなのだろう。胸裡でひとりごち、歩をすすめる。ゆるやかな傾斜の向こうに売り場らしきものはない。先を行ったはずの男性の姿もない。

しずけさだけがある。

そう気づいて目をとじる。横たわるわたしに暗がりが押し寄せる。朝にはまだ少し早い。