がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

『無頭人(アセファル)』なう!

無頭人(アセファル) (エートル叢書)

無頭人(アセファル) (エートル叢書)


 
お・も・し・ろ〜い☆
なんでわたし、これ、もっと早くに読まなかったんだろ?
雑誌『アセファル』って名前は有名だから知らないわけじゃなかったんですが、今日まで読まずじまいでした。数年前に『エロティシズム (1973年) (ジョルジュ・バタイユ著作集)』を再読した際、バタイユってば「主体」を手放さすぎててちょっとなあって、チョー生意気にケチつけてそこで止まったわたしに猛省を促したいです。ものすごく面白い。すみません。
実は、パスカルキニャールへの理解を深めるためと思って読みはじめたんですが(キニャールを「知る」にはどうしたってバタイユクロソフスキーやら何やらかにやらは外せない。それで、「何やら」ってなんだってことになると、浅学非才のわたしには説明できないからパス!)、この本自体が面白い。
内容もさることながら、この本の「つくり」が愉しいです。
「元版の雰囲気を伝えるために、あえて訳さずに、図版として収録」してあるのですよ。
わたしは「雑誌」っていう媒体が好きで、しかも「絵」がある本を特に偏愛してて、この本の広告頁(訳してある22頁)の、

また特に支援者として予約購読を希望される方の購読料は倍額となるが、その場合は別に「アセファル」を描いた版画1点を謹呈する(1937年1月以降)。

なんてのを読むとやたらにコーフンし、
こういうカッコイイ雑誌つくってみたいなあと飽くなき妄想が始まったりしちゃうのですよね。
うーん、ほんとに、かっこいい!
てなわけで、「聖なる陰謀」から引く。

わたしが考え思い描くこと、それをわたしは一人だけで考え思い描いたのではない。わたしはとある漁村の冷たく小さな家でこれを書いている。夜のなかでいま一匹の犬が吠えたところだ。わたしの部屋は台所のとなりで、台所ではアンドレ・マッソンが幸せそうに騒ぎ歌っている。こう書いているまさにいま、彼は「ドン・ジョヴァンニ」序曲のレコードを蓄音機にかけた。ほかの何にもまして「ドン・ジョヴァンニ」序曲は、わたしに与えられた実存と、我を忘れた[自己の外]の陶酔にわたしを開く挑戦とを、結びつけるものだ。まさにこの瞬間、わたしはあの無頭の存在、同じように高揚した二つの強迫観念が作り上げた厄介者が、「ドン・ジョヴァンニの墓」となるのを見る。

この雰囲気は、イイね。
もう絶対に、何かが起こる。何かが、たちあらわれるのを期待する書き手がいるのを感じないではいられない。
ある種の「秘儀」のようなもの、その気配、横溢、それが見えるような気がする。
 
まだ半分も頁を捲ってないくらいなんだけど、コーフンしたまま書いてみた(笑)。
そんな感じ。
で、この記事を書くために「はまぞう」クンを見たら、こんなのもあるんですねー。

聖なる陰謀―アセファル資料集 (ちくま学芸文庫)

聖なる陰謀―アセファル資料集 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: ジョルジュバタイユ,マリナガレッティ,Georges Bataille,Marina Galletti,吉田裕,神田浩一,細貝健司,江澤健一郎,古永真一
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 文庫
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へええ。これも面白そう! 要チェック☆