がらくた銀河

磯崎愛のブログです。本館は小説サイト「唐草銀河」。

乗り物(鉄道&馬車)好き、または片眼鏡(モノクル)好きな方へ送るプルースト

失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

読了しました!
チョーきもちいいです。このままずっと浸っていたい気分(笑)*1
この巻は、なにしろ著名な「カトレアをする(faire catleya)」のおはなしがあるのです。つまりは「愛の営みをする(faire l'amour)」の言い換え、恋愛に嵌まってるときのマジックワード大爆発のアレ、ですね。こういう小ネタも好きなんです。
さらには、わたしのような「ルネサンス美術おたく」にはサーヴィスシーン満載で、身悶えしまくりで頁を捲っておりました。あ、ワーグナーやリストが好きな方も「興奮」できるものと思います。わたしには、好きなものが延々と、とめどなく溢れ出てくる小説でした。

そしてエントリタイトル通り、工藤庸子さんの巻末エッセイ「それぞれのプルースト」がとても素敵でしたので、一部を抜粋いたします。

「(略)『失われた時を求めて』のような長大な小説を読む醍醐味とは、いつでも気ままに途中下車できる鈍行列車に乗るようなものではないか」
プルーストは鉄道時代の申し子であり、その世界には第一次大戦より以前、いわゆるベル・エポックの身体が息づいている」

 
このへんも、「ぷち鉄(笑)」なものでツボりましたですよ。
それから、おはなしのはじめは馬車の時代なわけで、エルメスのあのロゴマーク(四輪馬車と従者)が素敵と思うひとにもオススメだったり☆ 馬車いいよね、馬車!

馬車が買いたい!

馬車が買いたい!

エルメスの道 (中公文庫―コミック版)

エルメスの道 (中公文庫―コミック版)


あとは眼鏡男子好きにはたまらん、片眼鏡(モノクル)ですよ!

(前略)この片眼鏡(モノクル)はスノブで退廃した若い婦人たちから、この世の最も美しい眼差し以上に珍重され、人工的な魅力と洗練された官能を彼女たちに夢見させるのだった。

うははははw ムチャクチャ受けた。
あの当時から眼鏡スキーはいたってことが証明されちゃいましたね。

プルーストって、このエッセイにもあるように「高級で晦渋な近づきがたい作家」ていう読み方も世の中には確かにあるでしょうが、そうじゃなくて、工藤さんのエッセイのように「それぞれのプルースト」がいるんじゃないかなって。
たとえば子どものころ病がちだったようなひとなら熱でてベッドに閉じ込められて遊びに行けないときのションボリな気持ちが重なって、思いっきり感情移入できそうな気もします。

さてさて、今年はプルーストの当たり年とでもいうのでしょうか、翻訳でてますよね。
いつか読み比べたいなって思ってます。

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫)

失われた時を求めて〈1〉第一篇「スワン家のほうへ1」 (光文社古典新訳文庫)

失われた時を求めて〈1〉第一篇「スワン家のほうへ1」 (光文社古典新訳文庫)

表紙がわたくし最愛のひと、サンドロ様の壁画なこちらもあげておきませう。

失われた時を求めて〈1 第1篇〉スワン家のほうへ (ちくま文庫)

失われた時を求めて〈1 第1篇〉スワン家のほうへ (ちくま文庫)

ついでに原文も。

Du côté de chez Swann by Marcel Proust
http://www.gutenberg.org/ebooks/2650

個人訳が4つも出揃うなんて有り難いことです。
そんなわけで、どれかお手に取ったかた、「あなたにとってのプルースト」ってどんな作家なのか教えていただけたら嬉しいです☆

*1:http://h.hatena.ne.jp/florentine/9234081681371843029